○報告
フォーラムは2部構成とし、1部は鈴木氏の講演「絵本と鳥の巣の不思議-鳥の巣が教えてくれること」、2部は事例発表として活動報告、パネルシアター、朗読の実演を行った。
○第1部講演(概要)
「絵本と鳥の巣の不思議-鳥の巣が教えてくれること」
鈴木 まもる 氏(画家、絵本作家、鳥の巣研究家)
絵本作家は子どもたちに「いろいろな生き方がある」ということを伝える仕事。だからなるべくいろいろな本を読んであげて欲しい。その思いで童話や絵本を書いている。残念なことにそういう思いで書かれたお話しがテスト問題になると、「作者は何を意図しているのか?」と書いた本人もわからない問題になる。教科書も同様で、物語の一部だけが切りとられて掲載されることもある。でもそれが全てではない。もし教科書にそうした物語を見つけたならば、可能ならば原本を見せてあげて欲しい。
読み聞かせに向く絵本は、絵が大きくて笑いがあるもの。でもそれだけでは民放のバラエティ番組と変わらない。読み聞かせ自体に問題はないが、それだけが絵本の読み方ではない。なるべく近い距離で子どもに絵本を読んであげて欲しいし、そうした読み方に向いている絵本があってもいいと思う。
男の子が乗り物を好きなのも、本能的にテリトリーを守り広げたいから。絵本も本能的にひかれるものが好きになる。親には、その子その子の好きなものを選んで欲しい。自分が好きなものや不思議なことを知りたくて調べることが本当の勉強。だから、試験のため、就職のための勉強はつまらない。宿題に出ないようなことでも興味を持つことが大事。みんなが同じでなくても良い。自分を探すことにつながる。
世界中の様々な環境に対応して、巣が作られている。鳥の巣に惹かれる理由は、絵本も鳥の巣も、子どもたち命を育むためのものだから。あらゆる仕事も同じで、命を育てることに繋がっている。一羽の鳥の絵を中心に、様々な種類の鳥の巣を表した図があるが、鳥の絵を人間に置きかえれば、周りの巣は仕事に置きかわる。命を育てるために人も鳥も生きている。鳥はどこに住めば幸せになれるかということを、教わらなくても知っている。人間も同様に仕事を選ぶべき。好きになれば、一枚の羽根からその羽がどんな鳥どの部分なのかを知ることもできる。何気ないものを何だろうと思い手を動かして、何でも自由にやるのは勇気がいるが、面白い・不思議だと感じたことをぜひやって欲しい。
○第2部事例発表(概要)
・青葉おはなしフェスティバル実行委員会
青葉おはなしフェスティバル実行委員会長の松下さんによる活動報告と、パネルシアター、語りの上演行われた。
青葉おはなしフェスティバル実行委員会は、2000年に子ども読書年を記念し、青葉区内で活動している13の読書団体でできた実行委員会である。その後、出入りはあったが、ほぼ同じ団体が根付いている。
毎年来てくださるお客様が1000人前後。20年続いたということが、今年の表彰『平成31年度子どもの読書活動優秀実践団体文部科学大臣表彰』につながったと思っている。続いた理由としては、実行委員会で全部決めていること、たくさんのお客さんに支えられているということ、演者も楽しくにこやかに元気でやっていることだと思う。
次に、マスコットキャラクター「あおばっくん」のハンドパペットの紹介で、パネルシアターの実演で、テルテル坊主たちがおしゃれをするというもので、会場を巻き込んで、時に客席の間を駆け巡りながらの実演だった。
最後に、カワイさんによる秋田弁での語りで、「ツルとカメ」のお話を披露した。鶴の背に乗せてもらった亀が空から落ちて、それ以来、亀の甲羅にひびが入っている、というものだった。
「青葉おはなしフェスティバル」は来年も11月頃に実施され、本日の実演以外にもたくさんの劇団が楽しい上演をするとのことである。
○感想等
神図協研修参加者のほかに、学校関係者や幼稚園・保育園関係者、読み聞かせなどの活動をしているボランティア、親子連れの方など、163名の参加をいただいた。
アンケートには、「鈴木まもるさんのユーモアたっぷりの愛あるお話、とても元気がでました」、「鈴木先生のお人柄に魅了されました」など、講話について、とても温かい感想をいただいた。事例発表に関しても、「パネルシアター、語り、それぞれ楽しくて引き込まれました。」などの感想があがり、終始和やかな雰囲気で、フォーラムが開催された。
○当日配布資料(会員限定) プログラム、所蔵リスト、鈴木氏資料等
当日配布された資料は、ログイン後、「グループスペース」→「会員のページ」→「キャビネット」→「H31年度」→「03 研修」→「第8回職員研修会配付資料」よりご覧になることができます。