○配布資料
プログラム、所蔵リスト、プリント「ビブリオバトルをしよう!」、アンケート
○報告
フォーラムは2部構成とし、1部は内田氏の講演「わた詩の絵本」、2部は実演・事例発表として2団体よりビブリオバトル、すばなし・手遊びの実演を行なった。
第1部講演
内田氏は、福岡県大牟田市から上京して看板職人の仕事をしていた時に、乗っていた梯子が倒れて腰椎圧迫骨折をし、看板の仕事の代わりに生活の糧となる仕事として子どもの本を書く道に入った、と絵詞作家となったきっかけを話された。最初の絵本『さかさまライオン』で絵を描いてもらった長新太さんからたくさんのことを学んだこと、『ぽっかりつきがでましたら』は好きな詩人である中原中也の詩からヒントを得たこと、『うそつきのつき』は「日本で一番バカバカしい本を書こう」と思って書いたら、思いがけず受賞したこと、『がたごとがたごと』の絵詞は、画家が描いた絵をいかに活かすかを考えた結果「がたごとがたごと」というシンプルなテキストになったことなど、絵本の画像をスクリーンに映し、朗読を交えながら語られた。独特の間を取りながら、時々意表を突くジョークも飛び出すなどユーモアあふれる語り口で、会場は終始楽しい笑いに包まれた。
『うみがわらっている-内田麟太郎詩集-』収録の「なみ」という詩は、「へ」の字が笑い声と視覚的に波を表現していること、『うし』では自分のイメージと違った絵が提示され、作品の間口を広げてくれたこと、『ともだちや』では、「明日も来ていい?」と尋ねた時「うん」ではなく「明後日も!」と言ってくれるともだちを描いた。降矢ななさんの子どもの心をとらえる画力が魅力ある作品にしてくれた、と話された。最後に自作の詩「岬」の朗読で締めくくられた。
岬の突端まで続く小道を登っていくと、
突然、ぱっと開けます
あら、ヨット
第2部実演・事例発表
・横浜市立西本郷中学校
はじめに、西本郷中学校が全校を挙げて、工夫を凝らした様々な読書推進の取り組みを行っていることが、映像を用いて紹介された。ビブリオバトルはその一環で、学習に取り入れられている。その後、中学1年と2年の生徒4名によるビブリオバトルが実演された。一人1冊の本を3分間で紹介したあと参加者からの質問に答え、4人が終了したところで参加者の投票により「チャンプ本」を選んだ。中学生が3分間をフル活用して自分の言葉でしっかりと本の魅力を伝え、その見事さに会場から感嘆の声が上がった。紹介された4冊は『名作転生』『国境なき医師団を見に行く』『昔話法廷』『コーヒーが冷めないうちに』で、『昔話法廷』がチャンプ本となった。
・座間おはなし会
はじめに、代表者から座間おはなし会について、現在の会員は14名、1983年に発足し、読み聞かせやパネルシアターの基本となるすばなしを大切に勉強会とおはなし会を続けてきたことが映像を使って紹介された。
すばなしは「ゆきんこ」「さんねん峠」の2本で、舞台の中央に立った語り手がよく通る声で情感豊かに語り、参加者はおはなしの世界に引き込まれていた。手遊び「大工のきつつきさん」は、10人のメンバーにより舞台いっぱいに繰り広げられ、会場もいっしょになって楽しくからだを動かした。
感想等
神図協研修参加者のほかに、学校関係者や幼稚園・保育園関係者、読み聞かせなどの活動をしているボランティア、親子連れの方など、323名の参加をいただいた。
アンケートには、内田先生のユーモアあふれる温かいお人柄に触れ、ますます作品が好きになった、など多くの感想が寄せられた。実演に関しては、中学生のビブリオバトルを初めて見た、中学生の伝える力に感動した、自校でも取り入れたいなどの意見や、座間おはなし会の実演に、語りだけで情景が目に浮かぶすばなしの素晴らしさを存分に味わえたなどの感想があがっていた。