1 .講演要旨(キャリアアップを考える)
専門図書館協議会は、図書館や資料室、情報管理部門が相互協力と連携を図ることを目的に設立された団体で様々な活動を行っているが、今回の講演では神図協人材育成事業にも加えられた協議会主催の「全国研究集会」の紹介のほかに、キャリア形成にあたっての留意事項についても話が及んだ。
図書館に従事する職員には館種に関係なく、専門職がキャリアアップしていくという共通項があるとのこと。例えば公共図書館の郷土資料部門は、資料主題別の観点から考えると専門図書館の要素を持っていると講師は述べる。
ワンパーソンライブラリーをはじめ、少人数施設の構成員が単独でキャリアアップをはかるには限度があり、協議会には研修会の提供・人脈作りの場としての役割が期待されている。
研修会に参加した時は、あまり短絡的に(収穫の有無を)考えず、自分なりに状況や課題を分析していく試みが必要で、様々な情報に接した時には上手に必要な情報をキャッチしていくことが大切とのこと。
また少人数運営の施設であっても、自館以外に人脈を広げていると問題解決のためのヒントを得られることが多い。人脈作りの場における名刺交換の必要性については特に強い言及があった。
キャリアアップを図っていくためには、個人のスキルアップは基本中の基本であって、その上でアンテナを高く広く持って情報収集にあたり、人脈を広げて自らのキャリアデザインを考えて行動していくことの重要性について触れたのち本講演は終了した。
2.講演要旨(電子ジャーナル導入の実際/PR活動について)
平成30年5月に川崎市高津区に移転・再オープンした県立川崎図書館は、公共図書館初の試みとして、IEEE (Institute of Electrical and Electronics Engineers) が刊行する電子ジャーナル(雑誌・会議録)「IEEE Xplore 」や世界最大級の抄録・引用文献データベース「Scopus 」などを導入した。同館では、海外の理工系の最新情報の入手に有効なプラットフォームの利用促進のため、様々な取り組みが行われている。
維持コストにおいては、為替の影響など海外製品固有の問題のほかに、利用料金そのものも毎年上昇する傾向にあるとのことだった。
運用面では説明会を開催したほか、初めて使用するユーザー用により丁寧な手引き書を作成するとともに、動画サイトにもアップした。また、図書館入口近くの「ものづくりギャラリー」で関連書の展示なども行った。
今後は使い方を説明する形式から、利用者が興味を持ちそうなテーマにまで広げた説明会の開催を予定しているとのこと。
最後に施設見学が行われたが、「『ものづくり技術を支える』機能に特化した専門的図書館として全国的にも例のない特色ある図書館」¹⁾ として、利用者が最先端情報にアクセス出来る開かれた図書館である同館に多くの可能性を感じた研修会であった。 <引用文献> 1)古根村政義「<県立川崎図書館から>県立川崎図書館の移転・再開館について」、『ものづくり文化』2019.3 2018 Vol.60.No1、22頁。
3. 当日配布資料(会員限定)
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