◆概要
<第1日>
開会式、表彰式、全体会、基調報告、記念講演等
・基調報告 講師 小田光宏(公益社団法人 日本図書館協会理事長 )
一年間の振り返りとして、新聞記事として掲載された図書館の活動や活字文化議連の活動紹介、また障害者サービスに関するマラケッシュ条約の発効に基づく法改正をめぐる状況等の説明。その他、日本図書館協会の歴史と活動も詳細なデータを上げて解説した。
・記念講演 演題「忍者研究の最前線から地域と図書館を考える」講師 吉丸 雄哉(三重大学人文学部教授)
三重大学図書館所蔵の忍者関連資料の研究を基に、氏の専攻分野である近世文学に現れた表象としての忍者像の形成と展開を解説した。歴史的に実在した忍者(忍び)の実態と離れて、近代以降の小説、漫画、映画や伊賀地方を始めとする町おこしと連携しながら、イメージとしての忍者の多様性を獲得していく過程とその展開を詳細に解説した。
<第2日>
・第7分科会 著作権・障害者サービス
テーマ:平成30年著作権法改正と図書館実務との関係について-これまでの経緯を踏まえて
報告:南亮一(国立国会図書館)、井上奈智(国立国会図書館)、椎原綾子(目黒区立図書館)
著作権法改正に基づく保護期間の延長の影響やマラケッシュ条約の発効に基づく法改正が、図書館における上映、貸出、複写等といった業務にどのような影響を与えるかを具体的に解説した。また著作権37条第3項に基づく著作権ガイドラインの改訂のポイント、障害者サービスに関する著作物の複製のあり方、またDAISY等の電子書籍フォーマットをめぐる図書館側の対応についても解説した。
・第2分科会 大学・短大・高専図書館(2)
テーマ:図書館における利用促進
基調報告:長澤多代(三重大学地域人材教育開発機構准教授)
報告:森岡美知子(近畿大学中央図書館)、井上真美(皇學館大学附属図書館)、中村光浩(岐阜薬科大学実践薬学大講座教授)
基調報告として、長澤氏より三重大学における図書館の役割とラーニングコモンズをはじめとする学修支援プログラムの策定の過程についての具体的な解説があった。その他の報告では、近畿大学森岡氏からは、新設されたアカデミックシアターの図書館としての機能や独自分類の紹介、皇學館大学 井上氏からは、学習支援プログラムの試行錯誤と教職連携の事例が報告された。
会場からは、近畿大学アカデミックシアターにおける独自分類への図書館側からの対応や認識についての質問などが寄せられた。
◆研修成果
個人的なこととなるが、図書館に異動となって半年足らずであり、過去に図書館に配属されていた時期からは、5、6年ぶりとなる。図書館関係研修でこの分野の知識に触れるのは久々であったが、今回参加させていただいた第7分科会では、著作権、障害者サービス、電子書籍フォーマット等の技術の密接な関係について学ぶことができた。また第2分科会などは図書館のみの業務というよりもむしろ、図書館とその周辺の領域をどのように連携させるかという点に係わる領域であったように思う。他部署から移動してきた人間として方向性を考える良いきっかけとなったと思う。