令和3年度 専門図書館協議会全国研究集会に参加して
2021年7月27日 09時22分<令和3年度専門図書館協議会全国研究集会に参加して>
事業年度 |
2021年度 |
参加研修名 |
令和3年度 専門図書館協議会全国研究集会 |
研修期間 |
2021年 6月8日(火曜)~9日(水曜) |
報告者所属 |
専門図書館 |
2021年度神奈川県図書館協会人材育成事業助成報告書 |
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タイトル 氏名 研修名 期日 テーマ等 概要 研修成果 |
「専門図書館協議会全国研究集会に参加して」 酒本 有美 (神奈川県地球市民かながわプラザ) 2021年度専門図書館協議会全国研究集会(オンライン開催) 6月8日(火)~9日(水) 今こそ専門図書館の基礎体力を! 6月8日(火)全国研各分科会 【1-1】13:30~14:30 「専門図書館と著作権 最新動向2021」 講師: 生貝直人氏(一橋大学大学院法学研究科准教授) 【1-2】14:40~15:40 「企業の価値を高める企業図書館」 講師: 石田嘉郎氏(㈱ニチレイフーズ研究開発部食品科学 グループマネージャー) 【1-3】15:50~17:20 「専門図書館の資金調達」 講師: 廣安ゆきみ氏(READYFOR株式会社) 武藤祥子氏(公益財団法人松竹大谷図書館) 鴨志田浩氏(公益財団法人大宅壮一文庫) 6月9日(水)全国研各分科会 【2-1】13:30~14:30 「「保存管理自己点検表」実践から学ぶ資料保存」」 助言者: 眞野節雄氏(日本図書館協会資料保存委員会委員 長/ 東京都立中央図書館資料保全専門員) 報告者: 能勢美紀氏(日本貿易振興機構アジア経済研究所 図書館) 【2-2】14:40~15:40 「今すぐ始める図書館資料の水害対策」 講師: 眞野節雄氏(同上) 【2-3】15:50~17:20 「繋がるデジタルアーカイブ ~今、専門図書館にできること」 講師: 奥村牧人氏(国立国会図書館 電子情報部) 中村覚氏(東京大学史料編纂所) 【1-1】「専門図書館と著作権 最新動向2021」 コロナ禍を機に、一気にデジタル化への対応を急務とした見直しが行われているなか、5月に行われた法改正の内容を中心に、今後予定されている変更事項を含めた最新情報をご説明いただいた。出版者の権利を守りながら、情報を求める方により開かれた図書館を目指すべく著作権が変化していくことを知るとともに、利用者の方に便利なサービスを一層安心して利用いただくためにも、図書館員が著作権を熟知するべきことを再認識した。 【1-2】「企業の価値を高める企業図書館」 あまり使われることのなかった企業図書館を、いかに社員に求められる図書館へと生まれ変わらせたか、ご担当者の実体験を非常に興味深くお聞きした。アグレッシブで具体的な試みを数多くご紹介いただき、つい待ちの姿勢を取りがちな図書館員として、実際の業務で活かせることはないか職場で話題にしてみたいと思った。 【1-3】「専門図書館の資金調達」 昨今よく耳にするクラウドファンディングに関するお話だった。 具体的な事例をお聞きして、一つの大きな可能性を持った方法として実感を持つことができた。クラウドファンディングを通して、「自分たちの預かっているものの価値を改めて感じた」という講師の方のお言葉が印象的だった。 【2-1】「「保存管理自己点検表」実践から学ぶ資料保存」」 専門図書館協議会作成の「保存管理自己点検票」を実践された方からの実践報告と、監修された方からの解説を併せてお聞きできて大変勉強になった。まずは不要なものを片付けてから作業にかかること、すべての資料を救うことは難しい、自館においてどの資料が主幹資料となるべきものなのかを理解したうえで作業を行うことが重要、というお話が、資料保存に関わらず、書庫スペースの問題などどの館においても頭を悩ますことへのアドバイスとしても感じられた。 【2-2】「今すぐ始める図書館資料の水害対策」 自然災害とは切っても切れない関係にある日本で、図書館員が常に不安を感じている問題について、積極的で具体的な取組の事例をお聞きすることができた。いざというときにどのような動きをとるべきか職員全体で共有しておく、自館で対応できなれば、他機関に向けて迷うことなく協力を仰ぐことは、貴重な財産を預かる図書館員として重要な心構えであると感じた。 また、眞野氏から特に心に残るお話があった。東日本大震災のレスキューに行かれた際、被災の1年後、眞野氏とその地の図書館員の方が、1点の地域資料を修復された。その資料には津波で亡くなられた図書館員の方の自筆の文字が残されていた。それを見たお2人は、わたしたちが修復をして残して伝えていくべきものは、資料そのものでもあるし、資料を収集して次世代に伝えていこうとした図書館員の思いと仕事でもある、とお話になったとお聞かせくださった。オンラインではあったが、司会者の方をはじめ、参加者全員が言葉をつまらせたのを実感した。 【2-3】「繋がるデジタルアーカイブ~今、専門図書館にできること」 昨年、正式公開された「ジャパンサーチ」に関するご説明をいただいた。図書館としてどのような参加ができるのか、「ジャパンサーチ」の存在について図書館員として深い理解を持っておく必要性を改めて考える機会となった。日々の業務に忙殺されてしまいがちで、技術面・資金面でも難しさのあるデジタル化ではあるが、先にお聞きしていた水害に関することにからめても、資料を色々な媒体で保存しておくことの必要性を感じた。 ■本研修に参加しての所感 昨年来のコロナ禍が続き、人が集まる場所としての価値を持つ図書館が、いかにその歩みを止めることなく、利用者の方々に寄り添っていくかという問題に、わたし自身頭を悩ませる1年を過ごしてきました。その中にあって、この度の全国研究集会は示唆にとんだ内容でした。 外に発信することが難しい今だからこそ、自らの足元を見直す資料保存について考えてみる、災害対策について職場で話し合ってみる機会を持つ等、やるべきことに気づかせていただいたことが大変参考になりました。また、このような状況の中で、利用者の方に安全にアプローチしていただける図書館の在り方の模索に際してのヒントを多くいただきました。 当館は、外国人の方の相談窓口に併設した形で図書室を運営しています。コロナ禍にあってお困りのことも多い現状でこそ、利用者さんに求められる図書室運営を継続していくために、今回の研修で学んだことを活かしていきたいと思っております。 この度は貴重な機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。 |