講義要旨
1.所蔵状況について
主に納本による収集。録音資料は1949年から納入を開始し現在約67万点、映像資料は
2000年から納入を開始し15万点を所蔵。
録音資料、映像資料共にジャンルも様々であり、媒体も多岐に渡る。録音資料はアナログレコード・フィルムレコード・カセットテープ・CD・MD、映像資料はビデオテープ・レーザーディスク・DVD等。所蔵資料の検索方法について、NDC-OPACから検索する方法とリサーチナビから検索する方法を紹介。
2.利用提供について
資料の利用は許可制で、資料保存のため、調査・研究を目的とする場合に限り、音楽・映像資料室内で視聴することができる。
音源・映像データの複製は行っておらず、レコードジャケット・解説・歌詞カード全体の複写はレコード会社の許諾が必要。
3.予防的保存対策について
温度と湿度が維持された書庫内で管理。アナログレコードは反りや曲がりを防ぐため平置きにするなど保管環境を整えたり、代替カセットにて利用提供を行う等劣化を防ぐ取り組みを行っている。
4.長期利用保障の課題
それでも媒体の劣化により再生できなくなってしまう場合もある。再生機器の旧式化も問題で、機器の修理も不可になりつつある。
5.録音資料、映像資料のデジタル化について
2013年より紙媒体に加え、アナログ形式の録音・映像資料もデジタル化の対象範囲となり、2014年からデジタル化を実施。デジタル後は、館内で利用できる「国立国会図書館デジタルコレクション」で提供予定。
感想等
今回は視聴覚に関連する研修として、国立国会図書館 音楽映像資料課の鈴木三智子氏に「国立国会図書館における録音・映像資料の利用及び保存」について伺った。
視聴覚資料の保存、再生機器の旧式化についてはどの図書館においても深刻な問題であり、国立国会図書館のような良い環境でも劣化が進むという事実にさらに危機感が高まったとの感想もあった。それらを解決する手段がデジタル化であり、今後の国立国会図書館のデジタル化に期待を寄せるとともに、公の図書館や施設では著作権や費用の面で簡単にはデジタル化を進めることができない、また国会図書館でも取り扱いのないオープンリールやフィルムといった媒体の保存という課題も浮き彫りにされた。