講義要旨
○オープンアクセス勉強会
大学図書館主催の勉強会を傍聴した。「オープンアクセスの浸透で変わる研究成果の公開と共有が大学に与える影響とは」をテーマに、オープンアクセスとは“学術論文に対する障壁なきアクセス”、研究論文を中心とした研究成果へのwebインフラ上の自由なアクセスを保証し、再利用、改変を含むその利活用も妨げないとするもので、オープンアクセスの背景や実現手段、課題と最近の動きなどについて学んだ。
○電子書籍講座
「大学図書館における電子書籍導入をめぐる課題」をテーマに、大学図書館における電子書籍をめぐる現状では、洋書電子書籍の契約モデルは販売モデルがある程度確立しているが、国内電子書籍においてはコンテンツ、新刊が少ない、高いなどが導入の障壁となっているほか、電子書籍のメリットとして蔵書管理(蔵書点検、延滞督促)が不要などの話があった。
三大学(千葉大・お茶の水女子大・横浜国大)連携でのPDA実験については、はじめにPDAとは利用者主導型購入方式というもので、選書にあたり、利用者の要求を反映するかたちで購入書籍を決定する方法であり、電子書籍PDAにおいては、利用要求のあったものを即時に提供できるのが利点であるとのことであった。また、メリットとしては、利用者に多くのコンテンツの提示や実際に使用されたタイトルのみの発注が可能などである。
三大学での実験では、対象:実験の趣旨に賛同した出版社のタイトルのみ、アクセス:無料トライアルという形でフルテキストアクセス可能、印刷・ダウンロード:可能(60Pまで)、方法:月締めで既定のアクセス数に達したタイトルを購入とし、6ヶ月間実施した。その結果は、実験前に比べタイトル数、アクセス数とも増加し、電子書籍普及にもっとも資する要素は「コンテンツ数」ではないかとの結論になったとの話があった。さらに、実験後から現在に至る検証によって、普及に資する大事な要素は「教育との連携」になる、と結ばれた。
○館内見学
職員の案内により中央図書館の見学を行った。
2階の可動式の机と椅子、ホワイトボードが利用できる「グループ学習エリア」、グループ単位で授業のコマ時間ごとに予約・使用することができる「ワーキングスタジオ」、情報基盤センター管理のパソコンが65台設置され利用できる「PCプラザ」のほか、メインカウンター、レファレンスデスク、ラーニングアドバイザー(学習相談を各専攻の大学院生が対応)を、3階の図書閲覧フロア、新着雑誌コーナー、AVエリアなどを、4階の大学紀要コーナーなど、1階の集密書架、サークルの作品などの展示に利用及びグループ学習室として利用できる「情報ラウンジ・メディアブース」、カフェを案内していただいた。
館内には学生の姿が多く見られ、グループ学習やパソコンプラザ、カフェといった機能が学習の場・居場所となり、図書館が有効に利用されていることを感じられた。
○感想等
はじめに傍聴をしたオープンアクセス勉強会では、公共図書館職員にとってはあまり聞き慣れないオープンアクセスという、大学における研究成果などの公開・共有化の成り立ちなどを知る良い機会となった。参加者からは「最新状況を学ぶことができた」、「まとまった知識を得られたのが良かった」などの声が寄せられた。
また、電子書籍講座では、現状や課題からPDA実験の結果、現在に至るまでわかりやすく説明をいただき、導入検討への一助になったと感じた。参加者からは「具体的に利用実態など聞けて参考になった」、「電子書籍の普及のキーポイントが学べた」などの声が寄せられた。