1 講義要旨
(1)指定管理者について
小田原駅東口図書館は子育て支援センターを併設していることから、指定管理者「ゆうりん・おだたんグループ」は、有隣堂と小田原短期大学が共同で運営している。小田原市短期大学は、保育学科・食物栄養学科があり、地域に根差して子育て支援をしている。小田原短期大学の学生による絵本の読み聞かせや、配架ボランティア、館内の飾り付けの作成等、企業と大学が協力し良好に図書館を運営している話が伺えた。
(2)小田原駅東口図書館について
[図書館のコンセプト・基本理念]
アクセスしやすい「出会う図書館」、本に出合う、人に育てる、情報の拠点になる、を具現化する。
[開館時間]
市民の要望と、駅に近く夜遅くまで利用があることから、平日が21時まで開館している。
[蔵書数について]
2022年11月現在:図書計56,374冊(一般/38,154冊・児童/16,126冊・ティーンズ/2,094冊)雑誌90誌・新聞13紙
[施設の面積・特徴]
面積:約1,672㎡/子育て支援センター約228㎡。長細い空間で90mの長さがある。
[ICタグシステム]
予約本コーナー、自動貸出機、盗難防止等がICタグシステムにより実現している。カウンター業務や蔵書点検作業の軽減、予約本の名寄が不要となり、業務負荷の軽減になっている。
[イベント]
多目的スペース等で、小田原の歴史、文学、物作り、鉄道、本、ビジネス、子育て、健康、料理などをテーマにしながらイベントを組んでいる。今まで実施した多彩なイベント事例の紹介があった。町の活性化もコンセプトにしていることから、いろいろな団体や役所などとイベントプラス連携ということでイベントを盛り上げている。
2 館内見学
[おだわら情報コーナー]
図書館入口にあり、デザイナーによる印象的な空間になっている。小田原市の文化や地場産業など情報発信の場が設けられ、シーズンに合わせたディスプレイや、かまぼこ板を使ったブックスタンドの展示などの工夫もされている。
[お城の見えるテラス]
図書館の西側に位置し、小田原城側の開けた景色が楽しめ、眼下に多数の鉄道路線が走り、さまざまな車両を眺められる。
[きょうは何の日?カレンダーの棚]
月日のイベントに合わせて、カレンダー形式で本が並ぶ工夫がされた棚があった。さまざまなジャンルの本あり、貸出したら別の本を補充している。
[閲覧席・学習スペース]
窓側に作られていて、予約制で利用可能。
[ティーンズコーナー]
中高生が利用できる学習コーナーがある。
[児童コーナー]
本の並びは手前から大きい子どもの本、小さい子どもの本へと配置を工夫している。
[おはなし広場]
図書館とおだぴよ子育て支援センターをつなぐ場所になっている。ガラス張りで双方の様子が見渡せるため、連帯感や広く感じられる効果となっている。
おはなし広場で、図書館職員と子育て支援センターが協力しておはなし会や工作会を行っている。
[図書館内装]
全体的にベージュの木目調となっている。本の案内表示は緑がコンセプトカラーで統一している。各所にキャラクターの鳥があしらわれ、統一感があるものになっている。本棚の上やスペースに、図書館の職員や小田原短期大学の学生による手作りのペーパークラフトの飾りがあり、季節感や温かみが感じられた。
[その他の設備について]
「自動貸出機」、「予約確認機」「デンネツ殺菌ブッククリーン」「デジタルサイネージ」(情報表示ディスプレイ)など最新の機器を見ることができた。
3 感想
開館までの経緯や課題を具体的に説明いただき、考慮すべき点やコンセプトの設定など大変参考になりました。特に若い世代や子どもを意識し、コンセプトが明確なのは、良い取り組みだと感じました。子育て支援センターの併設など新しい目線、機能を持たせた図書館の取り組みも知見が広がりました。
イベント内容が多彩で図書館から小田原を発信していく姿勢を感じ、学ぶところが多かった。今後の図書館運営に活かしたい。