講義要旨
○音楽データベース ナクソス・ミュージック・ライブラリーについて
音楽データベースである、ナクソス・ミュージック・ライブラリー(以下、NML)の概要や導入時事例等について、ご説明をいただいた。
NMLの日本におけるサービスは2005年から開始されており、配信されているのは、主にクラッシックである。2018年2月現在、800以上のレーベルの音源を配信、曲数としては180万曲以上となっており、国内導入実績としては、公共図書館、大学図書館、小・中・高等学校等を含め、約140機関となっている。
サービス利用にあたっては年間利用料の支払いが必要となるが、同時アクセスの上限数に応じて複数プランから選択ができる仕組みとなっている。
サービス提供方法としては、図書館内での利用のほか、自宅等、図書館外で利用する方法として、「パスワード貸出方式による利用」(以下、パスワード認証形式)と「図書館のウェブサイト経由での利用」(以下、リファラー認証形式)がある。
「パスワード認証形式」では、利用者にパスワードを貸し出し、自宅等にあるパソコンで音楽を聴いていただく方式である。貸出用のパスワードは「最初に使用した日から○日間有効」という仕組みとなっており、パスワードは使い捨てである。
「リファラー認証形式」では、図書館側で専用サイトを設け、各利用者がログイン後に利用状況等が確認できるサービスを提供している場合に、ログイン後のページにNMLへのリンクを設け、ID・パスワードを入力することなく、利用できる仕組みである。
○海老名市立中央図書館における導入事例について
海老名市立中央図書館においてはNMLを2015年10月より導入しており、利用者への提供を行っている。なお、従来から所蔵していたCD等についても提供を継続している。
NMLサービスの提供については3年目に入ったが、まだまだ、サービスを知らない利用者が多くいるため、現在は、書架への掲示や電子掲示板での告知以外に、iPadを利用した講座等を実施し、ライトユーザーを増やす取り組みをしている。
○館内見学
中央図書館の各階についてご説明をいただき、見学をさせていただいた。
それぞれの階にコンセプトが設けられており、それに合わせてフロアづくりを行っている、という説明があった。例えば4階は主に子供を対象としたフロアで、子供たちが伸び伸びと利用できるような仕組みや工夫を取り入れており、年間を通じて、様々なイベントに取り組んでいる。
地下1階は、以前、閉架書庫だった部分を改装し、小説等を落ち着いて読むことが出来るフロアとしている、といった説明があった。
また、資料の配架方法については、日本十進分類法ではなく、独自の分類方法を取り入れていること等に関するご説明をいただいた。
○感想等
多くの公共図書館では視聴覚資料に関する課題を抱えており、今後のサービスをどのようにしていくのか、それを考える良い機会であったと考えている。
また、全国的にも話題となった海老名市立中央図書館について、各階のコンセプト等を説明して頂きながら見学をさせていただけたことで、新しい発見や気づきがあった参加者も多かったのではないかと考えている。
参加者からはNMLのサービスに関する質問や、実際に導入している中での課題や今後の展望等に関する質問が複数出ており、活発な意見交換も行われた。
アンケートからは、「視聴覚サービスに限界を感じているので、新たなサービスに出会えてよかった」、「導入を考えたことがあったので、説明を直接きけて良かった」、「講座やイベント等、コンセプトをもっていて、新しい形態で勉強になりました」等の感想が寄せられた。