協会報(~239号)

20年の軌跡と奇跡

2012年3月21日 09時11分 [管理者]

20年の軌跡と奇跡  

        フェリス女学院大学附属図書館 金沢美樹


 勤続20年を迎えるにあたり、まず、私のような者を雇用し続けてくれた学院、諦めずに指導して下さった上司、見捨てずに付き合ってくれた同僚、静かに指示を聞いてくれた後輩に心より感謝申し上げたい。20年を振り返る時、いつも誰かにフォローされながら働いていた事実に気が付く。
 就職当初のことを思うと、現在の状況とはまさに隔世の感がある。20年前の当館は、校舎の一角を間借りし、「図書館」と言うよりは「図書室」で、資料の一部は研究室や空地に建てた6棟のプレハブ倉庫に分けて置かれ、それでも足りずに外部倉庫に預けたりし、管理も十分に行き届かなかった。また、当時の図書館の最重要ツールであったカード目録は、館内に置けず廊下に並べられ(しかもカードボックスは地震があれば無事ではすまないほど高くそびえていた)カードファイルは通行中の学生たちの荷物に背中を小突かれながらの辛い作業であった。図書室は冷暖房もなく、夏は時々事務室に火照った身体を冷やしに行き、冬は小さな電気ストーブで暖を取った。
 そんな当館もついに1992年4月、コンピュータシステムを導入した。システム担当者だったということもあり、稼動当初はまさに激務で、22時前に退勤できれば「今日は早い!」と感激するありさま。でも大学改革が盛んな時代で、大学全体に勢いがあり皆頑張っていた。その雰囲気の中で私もどうにかやってこられたのだと思う。
 そして2001年5月、夢に過ぎないと思っていた図書館棟(5階建)が完成し、一同涙に咽んだ。しかし喜びも束の間、人員削減でベテラン職員が他部署に移ったり、退職者があっても補充がままならなかったり、残るも地獄の苦しい時代がやって来た。
 そのような中で、一度の異動らしい異動もないまま20年間図書館で働き続けられたのは、奇跡に近いことだと思う。好きな仕事ができる喜びは何物にも替え難い。今後も与えられた業務に誠意をもって取り組んでいくと共に、新たな展開を模索しつつ、引き続き図書館で働くことができればと願っている。      
(平成19度永年勤続職員表彰受賞者)