協会報(~239号)

20年をふりかえって

2012年3月21日 11時33分 [管理者]

20年をふりかえって


神奈川近代文学館 古川左映子


  私が神奈川近代文学館に入った20年前には、文学館はまだ数えるほどしかなかったので、「文学館とは何ですか?」と聞かれることが多く、そのたびに「図書館と博物館の機能を兼ね備えた文学博物館です」と説明していましたが、今では日本各地にさまざまな文学館が誕生して市民権を得ており、隔世の感があります。
 当館の職員は、資料課、展示課、総務課の三つの部署を順次異動して業務を行うことになっています。私は資料課と展示課にそれぞれ10年ずつ配属されて、資料課では雑誌の受入・整理業務を、展示課では「日本の詩歌展」や「中島敦展」「西脇順三郎展」「立原正秋展」「日本の童謡展」などを担当してきました。
 最初に資料課に配属された頃は、カードによる手作業で業務を行っていましたが、展示課に異動した後、すべてが電算化され、OPAC検索が可能になったことで郵送コピー依頼も全国から寄せられるようになり格段に増加するなど、仕事のやり方がかなり変わったため、資料課に戻ってしばらくは浦島太郎状態でした。
 資料課への復帰と同時に、神図協の広報委員を2年務めることになりましたが、この期はちょうど神図協創立70周年の年にあたり、例年の会報の他に記念号の「神奈川の図書館―神奈川県図書館協会加盟機関ミニガイド―」と『神奈川県図書館年表1978~1998』の刊行に携わりました。各館からいただいたデータを元に原稿を作成したり、案内マップを書き直したりといった様々な作業は大変でしたが、日頃あまり交流する機会のない公共図書館、大学図書館の委員の方々との共同作業は、いろいろ学ぶことが多く、楽しく充実した2年間を過ごせたことは、今も良い思い出です。
 現在は再び資料課で、文学者の原稿や遺品といった特別資料の受入を担当していますが、資料に直接関わる資料課と、その資料を生かして、文学者やその作品を多くの人々に紹介する展示課の両方の仕事ができるのは、文学館ならではの利点ではないかと思います。
 多くの図書館と同様に、文学館を取り巻く状況は年々厳しくなっていますが、貴重な文学資料を収集、保存、展示して後世に伝えていく役目を担っている文学館の一員として、今後も誠意をもって業務に取り組んでいきたいと思っています。
(平成20年度永年勤続職員表彰受賞者)
(更新:2012年3月22日 12時32分)
2012-03-21 [管理者]
2012-03-21 [管理者]