協会報(~239号)

巻頭言 図書館の説明責任

2012年3月22日 15時30分 [管理者]
図書館の説明責任  

神奈川県立図書館長
川崎図書館長
神奈川県図書館協会長
中村 英二

 
 この4月から神奈川県図書館協会の会長に就任しました神奈川県立図書館及び川崎図書館館長の中村です。新米館長ですがどうぞよろしくお願いいたします。
 さて、一昨年秋のいわゆる「リーマン・ショック」に端を発する金融危機は、企業業績や公共財政に深刻な影響を与え、その余波は、資料購入費や人員の一層の削減といった形で図書館にも直接・間接に及んでいます。
 一方で、公立図書館においては、一層の効率的・効果的運営を図る観点から、民間活力の活用としてPFIや指定管理者制度などの新たな管理手法が制度設計されたり、大幅な業務委託が導入されたりといった、従来の運営方式を根本的に見直す動きも見受けられます。
 こうした図書館を巡る短期・中長期の環境激変にどう対応していったらいいのかという点は、協会加盟のすべての図書館・図書室が共通に直面している課題なのではないでしょうか。
 しかし、私はこうした環境激変をすべてマイナスのもの、脅威とのみ受け止めるのではなく、むしろ、図書館の新しいビジネスモデルを考えていくいい機会ではないかと考えています。
 公立図書館の場合、運営財源がほとんど税金で賄われている以上、図書館側は、納税者たる住民の期待にどう応えている(く)のかを常に説明する責任があるわけで、「図書館はこういうところに活路を見出していく」というビジョンを対置することが必要なのだと思います。
 言い換えれば、財政難や一層の効率的・効果的運営が求められる状況下で、これまでの図書館運営のスタイルにしがみついて防戦に回るのではなく、時代の変化に合わせて図書館のありようを柔軟に変えていくことが、説明責任を果たすことになるのではないかと考えています。
 その意味で、館種を超えて共通の問題意識を分かち合える本協会の意義は大変大きいものと思います。さまざまな会合や研修の場などを通じて、大いに意見交換し、学び合いたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。