協会報(~239号)

今年度の新しい動き/市民向け情報探索サービス

2012年3月14日 14時05分 [管理者]
市民向け情報探索講習サービス

横浜市立大学学術情報センター 原田こずえ


 横浜市立大学学術情報センターは、大学図書館と情報処理教育センターほかを統合して平成11年4月に発足した。当館では、12年度に今後のサービスの方向性について検討を行ない、業務改革の柱として次の2点を確認し13年度から実施することとした。①情報リテラシー教育の本格実施、②積極的な社会貢献策の展開である。以下、公立大学における社会域貢献の試みして、「市民向け情報探索講習サービス」について紹介する。

取り組みの経緯
 平成13年3月に策定された横浜市立大学将来構想委員会の答申においては、「本学の理念と5年後の本学の姿をイメージし、中長期目標として以下のように設定する。」として理念を3つ掲げている。当館の社会貢献の取り組みは、掲げられた理念の1つである「市民とのパートナーシップにより地域社会への貢献を行う大学」の具体化として位置付け、平成13年夏季に市民向けの情報探索講習会を始めることとした。
 当館は、学外者に対し、所蔵資料の閲覧という形での「開放」は実施していたが、今回の取り組みは、従来の姿勢から比べるとかなり踏み込んだものとなった。討議を重ねる中で、情報探索の講習を通して受講者の情報リテラシーの向上を図るとともに、大学図書館を上手に利用していただける、いわば「自立度の高い利用者」になるための支援をしていくという方向性が見えてきた。

講習事業の概要
(1)事業名:オープン・ガイダンス・デー
(2)キャッチコピー:知の世界の扉を開こう
(3)目的:市民・NPO・NGO等の自立的な調査研究活動や市内の企業活動を支援するため、学内向けに実施している学術情報の利用講習サービスを学外にも提供。
(4)対象:18歳以上の横浜市内在住または在勤の個人、並びに、市内団体(NPO,NGO、各種地域活動団体ほか)、市内企業の研究者等
(5)実施方法:毎月第2・第4木曜日の14:00 ~16:00(初回:平成13年9月27日) 受講生全員がパソコンを利用できる環境で、学術情報センターのスタッフが、学術情報を中心とした文献の探し方や情報の検索方法をわかりやすく講習。
(6)内容:生涯学習や地域活動、企業活動に伴い、より専門的な文献や学術的な情報を活用しながら 調査・研究をされたい方々を対象に、文献・情報 の効率的な探し方(情報探索法)を講習。受講者には、修了後も、資料照会サービスを提供するなど、継続的な支援をはかる。
 ①大学図書館や専門図書館を利用するコツ
 ②調査・研究テーマの絞り込み、基本文献、学術情報、研究者の探し方
 ③インターネットを利用した情報検索技法など
(7)会場:学術情報センター本館セミナー室
(8)定員:各回10名程度・抽選(全員パソコン使用。Windows環境)
(9)修了証(カード)の発行
受講者全員に発行。修了証を提示すれば、希望者は図書貸出カードの発行を申請することができる(毎年度更新)。またこれにより、学内ユーザーに準じたサービスを受けることが可能となる。

反響ならびに開催状況

 事前広報として大学ホームページへの掲載、区役所や図書館等の市民利用施設、市民活動支援施設、企業等へのチラシ・ポスター配付と横浜市広報紙への掲載を行った。実施1週間前には『朝日新聞』朝刊・神奈川県版(9月19日)にも紹介された。記事の見出しは『大学図書館・ネット使いこなそう-情報探しのコツ伝授』であったが、当日から電話による問い合わせが殺到した。翌々日まで電話は100本を超えた。記事の内容からみてIT講習会と間違えられた可能性は低いと思われ、情報探索という目新しいテーマにこれほどの反響があるとは予想外であった。
 本稿執筆時(1月末)までに8回開催し、受講者は104名である。そのうち、約半数が貸出カードの発行を希望している。
 紙面の都合上、アンケート結果等報告できないが、内容の評価については、受講者の約45%が高い満足度を示している一方で、「時間が足りない。テンポが速過ぎる。」という声も強い。「内容がもりだくさんで満足」という傾向の意見と「もっと検索実習をしたかった」という傾向の意見を勘案すれば、時間をもっと多めにとり、実習時間を確保すれば満足度は高まる可能性がある。
 当初掲げた目的から、今後は、NPO、NGOの具体的な課題に即したサービスを開発していく必要があると考えている。