協会報(~239号)

巻頭言 図書館の行方と神図協

2012年6月29日 13時26分 [管理者]
図書館の行方と神図協  

神奈川県立図書館長
神奈川県立川崎図書館長
神奈川県図書館協会長
 平野 達夫
  
 この4月から神奈川県立図書館長と神奈川県立川崎図書館長に就任いたしました。これまで神奈川県職員として、主に人事や土木の畑を歩んでまいりました。さて、門外漢が、今感じておりますのは、図書館が時代のニーズに対応し、多様なサービスを提供してきたという歴史の重みと、今後急速に変化するであろうニーズに、どう対応していくのかという将来への予測困難さであります。
 さて、神奈川県図書館協会は、昭和3年設立と全国5番目の古い協会ですが、戦時下には強制統合で一旦消滅し、戦後は、県立図書館設立の先導役や、出版、講習、研究などの活動面で、先人は、苦労を重ね、多彩な実績を残してこられました。
 また、加盟の公共・大学・専門の各図書館も、利用者やニーズこそ、それぞれ異なりますが、図書・施設・職員という資源を精一杯活用し、工夫を凝らした活動をしてこられたことと思います。
 それでは今後は?と考えた時、IT技術の急速な進歩に伴って、革新的なハードと斬新なソフトが次々に提供されて、人々の行動パターンや情報ニーズは、世界的な規模で刻々変化しています。
 今後の予測の難しさを感じるわけですが、図書館サービスの今後を考えるに当たっては、図書など著作物の取扱いを定めている著作権制度が、どのように変わるかも重要です。まずは、審議中の著作権法改正案の行方が、気になるところです。
 改正案では、絶版等の資料について、国立国会図書館による図書館への自動公衆送信の規定が盛り込まれていますので、施行によって、運用にもよりますが、図書館に様々な影響が想定されます。
 また、制度改正如何によらず、情報電子化は進んでいますし、行動やニーズの変化は、マスメディアを含め、情報を扱う産業すべてに大きな影響を与えており、図書館も例外ではあり得ません。本会報も、印刷物としては今号が最後となり、次号からメール送付、インターネット配信となります。
 こうした変化を見据えてどう対応するかを考える時、神図協の館種を超えたネットワークは、各図書館にとって心強い組織であるはずです。また、そうでなければなりません。是非とも皆様のご協力を得て、引き続き、頼りになる神図協を目指してまいりますので、よろしくお願いいたします。

※追記:著作権法改正案は6月20日に可決・成立しました。