令和4年度 専門図書館協議会全国研究集会大会に参加して
2022年8月27日 13時22分<令和4年度 専門図書館協議会全国研究集会大会に参加して>
事業年度 |
2022年度 |
参加研修名 |
令和4年度 専門図書館協議会全国研究集会 |
研修期間 |
2022年7月20日(水曜)~21日(木曜) |
報告者所属 |
公共図書館 |
2022年度神奈川県図書館協会人材育成事業助成報告書 |
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タイトル 氏名 研修名 期日 会場 テーマ等 概要 |
「専門図書館協議会全国研究集会大会に参加して」 雜賀 理恵子 (横浜市中央図書館) 2022年度専門図書館協議会全国研究集会 7月20日(水曜)~ 21日(木曜) Zoomによるオンライン開催 利用者視点で見つめなおす専門図書館の価値と役割 7月20日(水曜) 第1分科会 13時30分-14時30分 「ファミリーヒストリーを支える図書館でのリサーチ取材」 講師:NHK第2制作センターチーフ・プロデューサー 佐々木麗氏 1つの番組を作るためにいかに手間と時間をかけているかが印象に残った。 はじめから専門図書館を探すわけではなく、ネット検索などで求める資料から所蔵機関にたどり着くことが多いとのこと。情報や資料を所蔵するだけではなく、それがあることをいかにして外部に見せるか、直接アクセスされた時に表に出てこない情報をどうやって紹介できるかに図書館員の力量が試されると思った。 第2分科会 14時40分-15時40分 「札幌市図書・情報館における人に寄り添う選書と配架」 講師:札幌市中央図書館 利用サービス課長 淺野隆夫氏 札幌市図書・情報館は以前訪問した時に大変興味をひかれ、ぜひ話を聞いてみたいと思っていた。場所が狭いなどのデメリットを逆手にとった発想の転換や徹底した利用者目線からのサービスが印象的だった。斬新なことを行っているようでいて、「本と人とをつなぐ」という図書館の本来の目的にとても忠実であると思う。漫然とサービスを行うのではなく、対象を意識することが大事なのだと痛感した。 第3分科会 15時50分-17時20分 「“活用”を通して組織アーカイブズの価値を探る」 1.総論講師:(公財)渋沢栄一記念財団情報資源センター松崎裕子氏、茂原暢氏 2.事例発表講師: (1)(株)資生堂社会価値創造本部アート&ヘリテージ室小泉智佐子氏 (2)自由学園図書館・資料室村上民氏 (3)東京国立博物館学芸研究部百五十年史編纂室室長惠美千鶴子氏 企業や学校など、図書館といっても親組織が違うと収集方針も所蔵資料も全然違うことが興味深かった。本ではない一次資料や立体物の保存に苦慮している様子がうかがえた。すべてを保存するわけにはいかない以上、集めた資料をどのように使いたいのか、「過去を未来に活かす」という目的をもって収集する、整理することの重要さを感じた。 参加者交流会「オンラインサロン」 17時45分-18時45分 少人数のブレイクルームが数回あり、そのたびに違う方々と話すことができた。短い時間だったので自己紹介と簡単な感想ぐらいだったが、普段会うことのない専門図書館職員と接することができたのは貴重な機会だった。 7月21日(木曜) 第4分科会 13時30分-14時30分 「専門図書館と著作権最新動向2022」 講師:弁護士(元・文化庁著作権課著作権調査官)澤田将史氏 著作権の改定は図書館には大きくかかわることなので興味をもって聞いた。いただいた資料がとても分かりやすく整理されていて、職場でも共有したい。インターネット上で所蔵状況だけではなく中身まで見られるのは、第6分科会のオープンアクセスにも通じるが、図書館に気軽に来られない利用者にとって利便性が高い。今後始まるメール送信に関しても詳細がどうなるか注視していきたい。 第5分科会 14時40分-15時40分 箇所 「人がつながる情報がつながる図書館:役割再考 」 講 師:(1) 九州経済調査協会 BIZCOLI 館長 岡本洋幸氏 (2)富士吉田市役所 (前富士吉田 市立図書館) 小佐野みはる氏 BIZCOLIは会員制図書館で、特定の利用者に狙い撃ちしたサービスを行える。とはいえ、以前は利用減で閉館の可能性もあったとのこと、目的と対象を明確化することの大事さを痛感した。様々な機関とのコラボ企画を提案する際に「図書館だからこそ、まず話を聞いてもらえる」というのは日々思うところではあり、図書館という公共機関のアドバンテージを意識してそれを活かせるようにしたい。 富士吉田市立図書館はとても職員が楽しそうなのが印象的だった。図書館を楽しい場所にしたい!という思いが伝わってくる。楽しいだけではなく、庁内と積極的に連携することで、庁内での存在感を上げようとしているところも戦略的で見習いたい。 両館ともサービスのコンセプトがはっきりしており、漫然とサービスを行うのではなく、「誰のために」「何のために」やるのかを意識することが大事だと思った。 第6分科会 15時50分-17時20分 「オープンサイエンスとダイヤモンドOA―学術情報の幅広い共有と利活用に向けて」 講 師: 国立情報学研究所 情報社会相関研究系准教授 船守美穂氏 学術雑誌の高騰化については前から聞いていたが、「ダイヤモンドオープンアクセス」など学術情報の公開の仕組みは初めて知るところだったので興味深かった。「過去が未来を創造する」「情報は共有されてこそ価値がある」はこれまでの分科会でも語られていた通りで、学術の発展のためには欠かせないが、そのために誰がコストを負担するのかが大きな問題だと思った。 本研修に参加しての所見・今後の図書館に活かせるところ 専門図書館協議会の研修という所属とは違った館種向けの研修でしたが、普段の業務の参考になることも多く大変勉強になりました。それぞれの分科会で違ったテーマを扱っているのにも関わらず、根本は相通ずるところが多く、そこが図書館としての根幹なのではないかと思いました。 各分科会に通じるテーマとして「情報は持っているだけではなく、利用されてこそ価値がある」「本と人とをつなぐ場としての図書館」「目的と対象の明確化」「顔が見える図書館」を感じました。漫然と仕事をするのではなく、何のために誰のためにサービスを行うのか、常に意識しながら業務にあたっていく必要を感じました。貴重な機会を与えていただき感謝いたします。職場でも共有いたします。 |