「全国図書館大会岩手大会2023に参加して」
樋下 由美子 (女子美術大学相模原図書館)
第109回全国図書館大会 岩手大会2023
令和5( 2023 )年1 1 月1 6 日(木)~ 1 7 日(金)
盛岡地域交流センター(マリオス)/いわて県民情報交流センター(アイーナ)
理想郷“イーハトーブ”で本当の幸せを考える
~希望ある未来は図書館とともに~ 大会ウェブサイトhttps://lib-iwate.com
〈第1日〉 開会式・全体会 盛岡市民文化ホール大ホール(マリオス)
・開会式 主催者挨拶、来賓祝辞
・表彰式 第39 回日本図書館協会建築賞
・全体会
【基調報告】公益社団法人 日本図書館協会理事長 植松貞夫
(概要)公益社団法人日本図書館協会について/1年を振り返る/公立図書館の状況/図書館振興に向けてのアピール
【記念講演】本間 希樹 氏(国立天文台 水沢 VLBI 観測所 所長/教授)
(概要)「岩手発 ブラックホール行き 銀河鉄道の旅」
宮沢賢治の故郷イーハトーブ、縁の天文台でブラックホールを撮影する国際プロジェクトが成功して、継続していることに感銘を受けました。光の無い環境での撮影に元々興味がありましたので、最先端研究に触れる機会をいただき感謝いたします。
〈第2日〉 分科会(14 分科会)
・展示会 いわて県民情報交流センター(アイーナ)各会議室等
・盛岡地域交流センター(マリオス) 各会議室等
分科会 第2分科会 大学・短大・高専図書館 午前・午後
テーマ:「オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方」
【基調講演】竹内 比呂也[千葉大学副学長(教育改革・学修支援)、附属図書館長]/オープンサイエンス時代における大学図書館」はどうあるべきか:「検討部会」の審議内容を中心に」
【講 演】船守 美穂(国立情報学研究所情報社会相関研究系准教授)/「オープンサイエンス時代における大学図書館への期待―研究データ管理と即時OAにどのように立ち向かえば良いのか?」
【事例報告】村上 康子(千葉大学アカデミック・リンク・センター/附属図書館利用支援企画課長)/「電子ジャーナルの転換契約」
【講 演】長田 洋一(盛岡大学文学部教授)/「配慮を必要とする学生」
【講 演】野中 雄司(富山大学研究推進部学術コンテンツ課長)/「大学図書館をDXする」
【講 演】飯野 勝則(佛教大学図書館専門員)/
「今後のメタデータ流通を担う人材を考える」
【講 演】檜原 啓一(東北大学附属図書館総務課専門員)/
「これからの大学図書館職員のあるべき姿とは?」
【パネルディスカッション】
全国図書館大会は岩手初開催で大変盛況でした。会場の県民情報交流センター(アイーナ)は3-4階に岩手県立図書館が整備され、「南部片富士」と称される岩手山を臨む、美しいユニバーサルデザインの拠点施設で10名のアート作家の作品展示にも目を引かれました。(https://www.aiina.jp/soshiki/2/17.html)賢治の問う「本当の幸い」に思いを巡らせた2日間でした。新たな知識・技術獲得等の重要性について:1大学1図書館にとらわれず、大学間で連携して人的ネットワークを構築し、協力して行くことが今後必要となること、「研究ライフサイクル」の認識を持って研究支援、学内外との折衝を行えるネゴシエーション力が重要になって行くと感じました。1大学で全ての分野をカバーすることには限界があり、そのためには専門人材を配置できる組織体制、人的資源配分を複数の大学間でコンソーシアムを形成することが、実現に向かう方策となりうると考えます。
MARC21等、海外を見据えたメタデータスキーマを理解し、メタデータ間の変換マッピングを提案できるようなスキルを身に着けることが「メタデータの国際流通への一歩」であり、オープンサイエンスの一助に繋がる道筋だと、今大会を通じ新たな幸いへの扉を見出すことができました。貴重な機会をいただき誠に有難うございました。
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