YAサービス研修として、ビブリオバトルをテーマとして研修を行った。株式会社有隣堂から市川紀子氏を講師として招き、ビブリオバトルの基本から開催時のコツなどを紹介していただいた。また講義の後に参加者で実際にビブリオバトルを行った。
まず初めに紹介があったのは、「本を通して人を知る 人を通して本を知る」というビブリオバトルのキャッチコピーだ。この講義の中でも何度も登場するフレーズで、ビブリオバトルが単なる本の紹介ではなく、本を通じて人と人の繋がりが出来ていくことが根幹にあるということをよく表している。
それから、ビブリオバトルの4つの効能についても紹介があった。1つは「書籍情報共有」。お互いに本を紹介し合うことで、集合知とすることが出来る。そして「良書検索」。同じグループ内で何度もビブリオバトルを行っていくことで、そのグループにとってより面白い本が集まっていく。本を紹介するということで「自己表現力の開発」という効能もある。
最後に「コミュニティ形成」がある。相互理解を深め、多様な人と出逢い受け入れる素養を作ることが出来る。
開催スタイルもビブリオバトルを開催するにあたり重要なポイントのようで、講義後の実践の時間も2つのスタイルで行った。1つはステージ型(イベント型)。発表者がステージで発表を行う形式だ。観客として気軽に参加しやすいというメリットもあるが、質疑の盛り上がりが少なくなってしまったり、発表者のプレッシャーが大きくなってしまったりと、雰囲気づくりが重要なスタイルである。もう1つがグループ型(ワークショップ型)。3~5人の参加者がテーブルを囲み順番に発表を行うというもの。気軽に質問が出来ることや、全員が発表できるというメリットが大きい。ただ、他のグループの様子が見えないこともあり、交流時間を設けるなど工夫が必要なスタイルだ。
この他、基本的なルールから、運営のコツなどの紹介があり、講義後に参加者でビブリオバトルを実践した。各テーブルでグループ型、その中でチャンプ本に選ばれた発表者によるステージ型での発表という形式で行われ、最終的にチャンプ本として選ばれたのは『あるノルウェーの大工の日記』(オーレ・トシュテンセン著)だった。
感想
昨今、学校などでもビブリオバトルが取り入れられており、どの図書館でもビブリオバトルについて全く無縁という訳にはいかなくなってきた。その中で、実際に運営するコツなどを知ることが出来たことは、参加した多くの図書館員にとって良い経験になったはずだ。