○配布資料
プログラム、所蔵リスト、アンケート
○報告
フォーラムは2部構成とし、1部は松居氏の講演「絵本は愛の体験です~お話の生きている世界とは?~」、2部は実演・事例発表として2団体より事例発表、活動報告、創作紙芝居の実演を行なった。
第1部講演
日本にいたころ、小さいころから絵本はたくさん読んでもらっていたし、絵本の編集者になって、絵本体験を書いてみないかといわれて書いたのだが、絵本体験を書いてみて、改めて絵本を読んでもらうとはどういうことなのかを考えられたとのこと。絵本体験の根本になる事柄は本が生まれる前のお話の世界として存在している、「語り」や「昔話」であり、こうしたお話の生きている世界などが都市文化の中では失われつつあって、それを復活させる必要がある、と話された。
30年前に『わたしの絵本体験』、『昔話とこころの自立』、『昔話の死と誕生』を執筆された当時は受け入れてもらうのは難しいだろう、売れないだろう、というものだったが現在まさにそれが重要な時代となっている、とのこと。ミンダナオ島の絵本を見たことがない子どもたちなのに、読み語りを行ったら子どもたちに力を与える、こうした様子をミンダナオ子ども図書館の映像で紹介された。子どもたちにとって死を考えることはとても大切だと考えて『サンパギータのくびかざり』(松居友さく/ボン・ペレスえ)を書いたが、子どもに死について語るべきではない、という風潮なのは変であり、愛情をこめて死について語るべきだと述べられた。
読み聞かせ・読み語りなど、絵本体験の重要性をご自身の読書体験、ミンダナオ子ども図書館の紹介映像、著書の朗読などを交えて話され、子どもの読書に関わる様々なメッセージをいただいた。
第2部実演・事例発表
・横浜市立駒岡小学校
司書教諭、学校司書、ボランティアが協力して、居心地は良いが整理されていなかった図書室を図書館へと改革したあゆみが紹介された。
学習コーナーの設置やショーケースの有効活用、「全校ビブリオバトル」の全校投票でチャンプ本を決定する事で児童の関心を図書館に向ける取り組みなど、工夫を凝らして「図書館は自分の課題を解決する場所」であり、読書だけでない図書館をアピールしている。
蔵書や貸出数の倍増計画を立て、限られた予算の中、創意工夫によって図書館を使わずにはいられない状況を作るなど実績を残している報告がされた。
・いぬくら子ども文庫
はじめに文庫の活動について、本の貸出し、読み聞かせや工作などを行うおはなし会の他、近隣の小学校の学習支援や読書相談、読書通帳、地域の文庫等との連携などビデオを交えて紹介された。自作の紙芝居「かめくんのたねまき」は、紙芝居とプロジェクターでの投影で実演されたが、おはなしの内容と渡部氏のユーモラスな語り口に会場の参加者もうなずいたり、笑ったりして楽しんでいた。
感想等
神図協研修参加者以外にも、学校関係者やボランティア活動者そして親子連れの方など多くのご参加をいただいた。アンケートには、松居先生の講演からお話の持つ力やたくさんの大切なことに気づいたなどの感想が寄せられた。事例発表に関しては、取り組みがとても参考になったとの意見や、紙芝居に引き込まれたなどの感想があがっていた。