1 概要
2019(令和元年)6月「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(「読書バリアフリー法」)が施行されました。この法律は障害の有無に関わらず、すべての人が読書による文字・活字文化の恩恵を受けられるように、さまざまな方が利用しやすい形式で本にアクセスできることを目指しています。公共図書館においてバリアフリーな読書環境は、図書館の職員だけでなくボランティアや地域の方々によって支えられ、点字資料、音声資料、対面朗読サービス等が提供されています。
さまざまな方が利用しやすい形式の絵本の一つが「ユニバーサル絵本」です。
10年以上にわたってこのユニバーサル絵本の作成や、県立高校での授業や部活動などを通じた普及活動を行っている『ユニバーサル絵本ライブラリーUniLeaf』の活動を通じて「読書バリアフリー」だけにとどまらない「ユニバーサルな体験」について講演をいただきました。
2 講演内容
(1)ユニバーサルデザイン絵本について
「ユニバーサル絵本」とは本文の文章を点字にした透明シートを、見開きごとに挟み込んだ絵本で、目の見える子どもと見えない子どもが一緒に使い、読書体験を共有することができます。
英国発祥のユニバーサルデザイン絵本を日本初導入。15年間で1,200冊超を手作りし、全国に定期貸出しています。高校生や市民に絵本作成講座も開催。「分かち合える場づくりは貴重な取り組み」と2019年度内閣総理大臣表彰を受賞しました。
(2)歴史的建造物のミニチュアブロンズ模型について
鎌倉を代表する建長寺で仏殿ミニチュアブロンズ模型を作ることを進めています。
誰の目にも触れるよう、境内の屋外、仏殿の真ん前に設置します。頑丈で壊れないようにブロンズ製にします。誰でも触ってよい、「さわる」ための模型です。
目が見えない人には、さわって建物の形が分かる喜びを、目が見える人には全体像や鳥瞰図、高所や細部もよくわかり新しい視点の発見を。模型を囲み場を分かち合い、お互いに気づき興味を持つきっかけになります。
誰もが同じ場所・同じ時間に・同じ感動を分かち合える世界をめざして。共に生きる社会の具体的な一歩になります。
(3)体験
ユニバーサルデザイン絵本や模型にさわったり、点字タイプライターを実際に打ってみました。
3 感想
講演最後の体験の時間に、参加者がユニバーサル絵本などを手にしながら講師に質問する輪は幾重にもなり、また点字タイプライター打ちの順番を待つ列は閉場時間まで途切れませんでした。講師の身近な実体験から受けた感動を交えた講演は、会場を一体化させ、参加者の講師の活動に対する関心の高まりを感じました。
‘’みんないっしょに‘’ 一時間半の講演があっという間に感じました。
