協会報(~239号)

神図協小史点描(33)

2012年3月22日 11時19分 [管理者]
神図協小史点描(33)

会友(元県立図書館) 池田 政弘

プロジェクトチームの設置
  協会50周年に際して行われた組織の再編、それによって常置委員会と特別委員会という方式で運営されてきた協会は、時代とともに委員会活動に陰りが生じてきていた。
  協会70年を迎え、記念大会終了後、課題となっていた協会組織の再編に着手し、改編が理事会・総会において認められた。
 一方、その時々の課題に対して、企画委員会のもとで、さまざまな検討を行うプロジェクトチームの設置を見るようになる。そのきっかけが、県議会における県立高校再編整備に結びつけて提案された「デポジット・ライブラリー」であった。
 協会として調査研究を依頼され、検討プロジェクトチームとして「デポジット・ライブラリー推進特別委員会」が組織され、また懸念となっていた「県内全域利用推進委員会」も設置された。このように委員会改編後は、時宜にかなった課題解決のための検討チームが続けざまに設置されていくことになる。協会の運営は、「課題に対処する」という体制へとシフトしていったのである。

   協会存続の意義
   しかしながら時代は大きく変わって、今では各図書館から職員が出張し、さまざまな課題について一緒に調査・検討を行うといった地味な活動が できなくなってきている。これは、図書館の管理運営が大きく変わりつつあることと照応しており、 図書館職員の意識の中でも協会という存在が希薄 になる原因ともなっているといえよう。
   このようななかで「協会」とは何なのかと問う時、昭和3年に神図協が発足した当時や、戦後の協会再興にかけた県内図書館人の熱意を改めて思うのである。それこそは図書館相互の連携・連絡・調整であり、また新しい図書館活動のための職員の資質の向上とそのための調査・研究・研修であると強く思うところである。

   おわりにあたって
   図書館の歴史(図書館協会の歴史)といっても、どこの部分に「的」をしぼって描くかという課題があります。制度的側面、運動的側面、人物史的側面というように、それぞれの側面にスポットをあてて描く時、その総合体として協会全体の歴史が浮かび上がってくるはずです。しかし「的」をしぼって描くことができず、一貫した部分が欠けてしまっていると、おわりにあたって痛感しております。
   最後になりましたが、長い間「神図協小史点描」と題して連載するにあたっては先輩、同僚から多くの示唆を受け、また編集にあたられた方々をはじめ皆様方にご協力いただきました。ここにお礼申し上げます。


池田政弘氏の神図協小史点描は、今回で最終回になります。長い間ありがとうございました。創立80周年を迎え、今後、新たに刻まれる協会史につきましても、本連載を範として何らかの形で引き継いでいきたいと思います。<広報委員会>