協会報(~239号)

大学図書館の一般開放と公共図書館との連携

2012年3月15日 13時31分 [管理者]
特集  大学図書館の一般開放と公共図書館との連携  

 地域に開かれた大学を模索する時代の流れの中で、大学図書館において今さまざまな試みが行われようとしています。
  大学図書館の一般開放については、それぞれ理念をもって、一般市民へのサービスを拡充している神奈川大学図書館と、横浜市立大学学術情報センターに取り組み状況を書いていただきました。
  また多様な情報サービスをめざす公共図書館と大学図書館との連携も、いろいろな形で実施されています。それぞれの自治体・大学の状況によって連携内容等が違いますが、県内37市町村のうち、10市町が何らかの形で実施していることが、今年9月の広報委員会の調査でわかりました。
  今回は公共図書館に対して調査を行いましたが、大学図書館と公共図書館の両側の視点から秦野市立図書館と東海大学付属図書館に、また県域を越えて多数の大学との連携を実施している相模原市立図書館に現況を報告していただきました。
  各図書館のOPACが公開されるようになり、どこに見たい本があるか利用者自身が調べられるようになりました。しかし相互貸借のネットワークがなければ利用者に本は届きません。また搬送には経費がかかります。物流や搬送費のこと、所蔵している施設が異なる資料をどこまで共有化して利用をすすめられるのか等課題は多々あります。
  どんな図書館にも予算とスペースの限界は必ずあり、多様な情報サービスを展開していくには館種を越えたネットワ-クのあり方の検討が不可欠です。
 現在、神奈川県内の公共図書館間のネットワークについては、県立図書館が運営するKL-NETが機能し、相互貸借数は右肩上がりに増加の一途をたどっています。平成14年度は年間約7.5万冊の本が相互貸借されています。貸し出された本が返却されることを考えれば、延べ15万冊を越える本が搬送ネットワークによって、市町村図書館と県民の間を行き来したことになります。
 また大学図書館には、神奈川県内大学図書館相互協力協議会による神奈川県内大学図書館相互利用実施要項があります。
 しかし、大学図書館と公共図書館との連携は個々の自治体と大学間によって、ルールを模索しながら、行っているというのが現状です。統一的なルールを作るには各大学図書館や自治体の規模や考え方の違い等課題もありますが、今回の特集が今後の検討の契機になればと考えます。