協会報(~239号)

「大学図書館と公共図書館(室)との連携」調査報告

2012年3月15日 13時43分 [管理者]
●「大学図書館と公共図書館(室)との連携」調査報告

広報委員会

 平成15年9月に県内市町村図書館(室)を対象に大学図書館との連携実施状況について調査しました。
 調査結果の概要は、別表にまとめました。連携内容についてはそれぞれ微妙に異なるところもありま 
 すので、できるだけ各図書館から回答されたとおりに記載することとしました。

大学図書館と公共図書館との連携(2003.9県内市町村図書館を対象に調査)

 自治
体名
連携大学
図書館名
連携内容連携にいたる経緯実施開始年月
1平塚市東海大学付属図書館・平塚市民の東海大学付属図書館(湘南校舎)中央
 図書館、11号館、12号館、13号館の閲覧・複写
・図書館資料の相互貸借
・図書館資料の相互複写
・平塚市刊行資料と東海大学刊行資料の交換
平塚市と東海大学との交流事業の一環として、平塚市図書館と東海大学付属図書館との申し合わせが取り交わされた昭和62年4月
2鎌倉市鎌倉女子大学図書館・図書館資料の相互貸借(AV資料は対象外)鎌倉女子大学大船キャンパスが開設されるにあたり、地域開放の1つとして双方からほぼ同時に提案された
平成14年10月から協議を開始
平成15年10月1日
3藤沢市①慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスメディアセンター・図書館資料の相互貸借 
・大学図書館の閲覧及び貸出利用 
・レファレンス 
市の「健康と文化の森」事業の中に慶應大学誘致の件があり「地域の中の大学」という視点からスタート①平成3年6月
②日本大学生物資源科学部図書館②平成6年9月
③湘南工科大学附属図書館③平成12年4月
4茅ヶ崎市文教大学湘南図書館・相互貸借
・「大学施設利用証」による図書館閲覧・貸出利用
 *利用対象:20歳以上の茅ヶ崎市民
  大学関係者をのぞく。(大学関係者の場合は
  大学間での協力が優先)
情報化時代に伴い多種多様の情報を提供し、市民サービスの向上と図書館活動の充実を図ることを目的とし、茅ヶ崎市立図書館より依頼し、平成元年11月より協議を開始平成3年4月1日
5相模原市①麻布大学 ②和泉短期大学 ③北里大学(4学部) ④相模女子大学 ⑤女子美術大学 ⑥職業能力開発総合大学校 ⑦東京工科大学 ⑧多摩美術大学 ⑨桜美林大学・大学図書館資料の閲覧
・貸借及び複写等の相互協力(ただし、個人貸出
 不可・館内閲覧のため大学から図書を取り寄せ
 る場合は郵送料実費負担)
・レファレンス
市立図書館から各大学に働きかけ、協議の上、相互協力に関する協定を締結した①~⑥平成6年4月1日⑦平成14年4月3日 ⑧平成14年4月5日  ⑨平成15年4月1日
6秦野市東海大学付属図書館・秦野市民の東海大学付属図書館(湘南校舎)中央
 図書館、11号館、12号館、13号館の閲覧・複写
・図書館資料の相互貸借
・図書館資料の相互複写
・秦野市刊行物と東海大学刊行資料の交換
 *閲覧利用対象:18歳以上の社会人で秦野市立図
  書館利用登録者。大学関係者を除く。
  (大学関係者の場合は大学間での協力が優先)
昭和57年度から「地域大学」(現市民大学)を実施。
昭和58年度から「地域大学」の受講者に限って付属図書館の利用ができるようになった
昭和63年1月から市民で秦野市立図書館の登録者という現方式になった
昭和63年1月
7厚木市①神奈川工科大学附属図書館②松陰女子大学附属図書館③湘北短期大学図書館 
④昭和音楽大学附属図書館⑤東京工芸大学中央図書館⑥東京工芸大学女子短期大学部図書館⑦東京農業大学農学部図書館
*各図書館の正式名称は、P.9参照
・所蔵資料の相互貸借
・大学図書館における市民の閲覧利用
平成12年より厚木市大学交流懇話会の図書館相互利用ワーキンググループにて具体的な検討を開始
約1年半の検討期間を経て、相互利用協定を締結
平成13年6月1日(大学からの借用については平成14年6月1日)
8綾瀬市日本大学生物資源科学部図書館・市民が直接大学図書館に登録して本を借用
 (期間:1週間 5冊まで)
・図書館間貸借 (期間:2週間 ただし、利用者
 へは1週間の特別貸出)
平成6年10月の生涯学習都市宣言に伴う事業の一環として地域住民からの生涯学習へのニーズに対応するため、実施を開始した平成10年7月1日
9寒川町文教大学湘南図書館・図書館資料の相互貸借
・図書館資料の複写
・町民の文教大学湘南図書館の利用
平成12年12月頃より文教大学と協議を始め、相互図書館活動の充実及び町民利用者の利便性の向上を図るため、平成14年10月1日に申し合わせの締結を行った
平成14年10月1日
10城山町法政大学多摩図書館・利用者が直接大学図書館に登録して本を借用
 利用対象範囲:町内在住在勤18歳以上の者
 登録料1,000円 1年更新で更新料500円
 (利用者が負担)1人3冊 2週間まで貸出
 *町から大学当局へ施設運営維持管理負担金
  として毎年100,000円を支払う
地域に根ざした開かれた大学づくりを進めている大学側より、地域開放についての申し入れがあった
町としても図書館建設は長期的な計画となるため、実施に向けての協議を行った
平成8年11月1日
●質問「大学図書館との連携を実施してよかったこと、たいへんなこと等」

<回答>

*他の図書館にない資料が大学付属図書館にあり、借りられる場合など助かる。

*各大学の規模や考え方などから、統一的ルールをつくれない。公共図書館で収集できない分野を補完する訳だが、実際場所も離れており利用者の理解(同じ場所で種々な資料を見たい)はこれからである。

*文学、医学、美術関係などで、市立図書館が対応できない専門的な資料の有無やレファレンスの依頼ができるので、市立図書館の利用者の役に立っていると思う。

*市立図書館ではそろえられない専門書・雑誌等が閲覧許可証の発行を受けることによって利用できるようになる。

*これまで大学図書館というのは一般市民にとって敷居の高い場所であったが、連携により市民の方が大学図書館の資料を閲覧したり、相互貸借で借用できるようになったことは大きなメリットであると思う。まだ利用は少ないが、今後webOPACの活用等により利用が伸びる余地はあると思う。


*この他2市が検討中と回答
(更新:2012年3月26日 16時22分)