協会報(~239号)

<シンプルに分かりやすく>:これが湘北スタイル

2012年3月21日 10時21分 [管理者]

<シンプルに分かりやすく> : これが湘北スタイル  

                 

湘北短期大学図書館 藤沢みどり

 

◆はじまりは一本の電話から
  お電話をいただいたのは、慌しい昼休みのカウンター業務を終えて、ひと息ついたところであった。何か不備があっただろうか、という思いがめまぐるしく頭の中をかけめぐった。
  しかし、このときばかりは心あたりがなく、おずおずと電話に出てみる。するとこの原稿の依頼であった。青天の霹靂とは正にこのこと。ウチの図書館に「ホームページでの情報発信」についてですか?どうして?なんで?心のうちのさまざまな思いを抑えながらも現状をお伝えした。
  「技巧をこらして作りこんでいるわけでもなく、とりたてて新しいことはしていない。ソフトも使わず、入職5年目の若手職員1名の手作り。彼女の負担を軽減すべく現在改装準備中、整い次第、更新する予定である。内容についても、利用者にとって分かりやすいかどうか手探りの状況である。ホームページの広報効果がどれだけあるのか把握していない、という具合に、数々の課題を抱えており、みなさまの参考になるようなことはないかと思われる。」
  これを受けてお電話を下さった広報ご担当の方は、「それでいい。いろいろな情報がもりこまれていながら、シンプルで分かりやすい。学生オススメ本のリストをたどると所在が地図表示される、こういったことが評価されて今回、依頼することになった。」とのお言葉をちょうだいした。
  「シンプルで分かりやすい」という言葉がなによりもうれしかった。これを心がけてHPを考えているからである。日ごろあまりほめられることがないので、気をよくして、うっかり引き受けてしまった、という次第である。

◆いまの【顔】になるまで
  <シンプルに分かりやすく>というモットーは、図書館員自身にとってもいえることと考えている。学生からの質問を受けると、「待ってました」とばかりにあれもこれもと余計なことまで案内してしまいがちなのであるが、求められていることを簡潔明瞭に提供することこそが肝要な点である。HPにも同じことがいえよう。
  例えば、スクロールすることなくページ全体の情報がひと目で見られる、OPACの検索窓がトップページに設けられているなど、必要な情報にたちどころにアクセスできることが望ましい。これは、自分自身が利用者として思い描く理想像でもある。つまり、図書館員が便利であると感じ、活用しているページであれば、利用者にとっても便利なはずと考えているが、我田引水であろうか。
  HPに関するさまざまな文献や提言ももちろん勉強になるが、なによりも他の図書館のページが大変参考になる。「これいいね、ウチにどうかな」「できるかな?」「それなら、教員(あるいはSE)に相談してみよう」という小さな積み重ねの上に現在の【顔】ができあがった。小回りがきく、小規模図書館のメリットなのかもしれない。
  利用者には、探している本があるのかどうか、どこにあるのかということが重要であって、検索の仕方や仕組みについて関心を払うことはないであろう。その観点から、トップページに検索窓を設け、検索結果に所在の地図を表示させることにしたのである。厚木市立中央図書館の検索窓を設けたのも同じ理由である。同時に、ネットからの貸借依頼ができるようになった今は、図書館員にもこの上なく便利である。厚木市大学図書館相互利用ネットワークは、本学図書館にとって強力な味方となっており、学生たちは「湘北になければ厚木から借りよう」と気軽に話している。
  厚木市の承認と本学情報メディア学科の教員の大きな支援があったからこそ実現できた検索窓であり、感慨もひとしおである。

◆これからの【顔】づくり
  奇しくも先日、情報メディア学科2年生の<情報アーキテクチュア>という授業の中で図書館HPについて、学生と情報交換をする機会があった。学生のアイデアもさることながら、鋭い指摘もあり、使ってくれている、見ているんだという手ごたえが感じられ、大きな励みとなっている。
  一方、原稿依頼を受けるまで、図書館のHPが外部の方に見られている、という意識をそれほど持っていなかった。わが身を振り返ってみれば、他大学図書館のHPは機会あるごとに拝見し、参考にさせていただいていたではないか、といまさらながらに思い至る。公開していることの意識と責任をもち、湘北スタイルで真摯に運営してゆきたい、との決意を新たにしている。こんな図書館もある、とみなさまの一興になれば幸いである。

湘北短期大学図書館のホームページ→http://www.shohoku.ac.jp/library/