協会報(~239号)

“知の宝庫”で思うこと

2012年4月20日 14時06分 [管理者]
神奈川県立図書館長
神奈川県図書館協会長
遠藤  眞  

 
 今年4月から神奈川県図書館協会の会長を務めさせていただいている神奈川県立図書館長の遠藤です。職員の支えも得ながらこの半年を過ごしてまいりました。
 図書館は“知の宝庫”であると言われておりますが、書庫内で膨大な本が並んでいる書架を見ていると、先人の積み重ねの偉大さに思いが至り、継続の重要性を実感します。また、形あるものを保存、活用する重要性を感じます。
 現在、図書館では様々なサービスが提供されております。本を借りて読む場所であるだけではなく、利用者と情報とを結び付ける場所としての機能も担っております。当館も、課題解決型の図書館として、レファレンスに力を入れておりますし、県民公開講座や県内公共図書館職員等への研修等も行っております。
 インターネットを使うと、膨大な情報の中から必要な情報を瞬時に検索できます。これも大変便利で重要であると考えますが、物事を体系的に理解する際には、物理的に組み立てられ、一覧性のある本は不可欠であると考えます。その本の蓄積があることは図書館の大きな特徴であり、強みであると思います。
 電子図書や携帯電話等の普及で、紙以外の媒体で本が読める時代になりました。それでも、書籍の出版点数は減っていません。図書館で収集する資料も、依然として、紙媒体が大きな割合を占めています。書籍や史料のデジタル化は進んでいますが、紙との共存はまだ続くのでしょう。
 ゲームや携帯電話、インターネット環境が小さな頃から身近にある学生の世代、さらにもっと若い世代に、紙の文化や書籍の重要性は引き継がれていくのでしょうか。
 神奈川県図書館協会には81年の歴史があり、公共・大学・専門の、館種を越えた連携の実績もあります。加盟館のデータを合計すると、3,200万冊を超える蔵書の蓄積もあります。先人の労をしのびながら、微力ながら皆さんと手を携えていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。