協会報(~239号)

情報リテラシーをこう考える

2012年3月15日 15時59分 [管理者]
●図書館と情報リテラシー

情報リテラシーをこう考える


鎌倉市図書館における「情報リテラシー」    鎌倉市中央図書館 中田孝信
 

 公共図書館界でもIT化が進み、「情報リテラシー」「利用者教育」が話題になっている。レファレンス=参考業務と同様、何かもっと良い言葉にできないかと考えるのは私だけではないだろうが、それはさておき当市の取り組みを紹介したい。
 まず、平成13年度に「図書館の使い方講座」を企画実施した。図書館資料を利用者が効率的・効果的に活用できるように手助けすることを主目的とするものである。内容は①図書館のサービス案内②資料の探し方(請求記号の説明、館内の案内、利用者端末の説明、簡単なレファレンスブック紹介)③CD-ROM検索機の説明、の3つ。中央図書館でのみの実施であった。
 平成14年度には「楽RAKU図書館使い方道場」と銘打って市内全5館で計6回開催した。目的・内容等は前年度とだいたい同じである。
  この2年間の実施で、参加者のほとんどがご自分の経験だけで図書館を利用していること、従って図書館を全然使いこなしていないことを知り、分かりやすい図書館作りと子どもから大人までの継続したPRの必要性を痛感した。
  平成15年度については何も実施せず、今年度も実施予定はないが、平成14年10月から中央図書館に利用者に利用してもらうインターネット端末7台を導入したこと、今年3月からコンピュータシステムが新しくなったこと等から次年度以降何か企画できないか、と考えている。

フォーラムのライブラリにおける情報リテラシー
                   横浜女性フォーラム情報ライブラリ 三輪久美子
 横浜市の男女共同参画推進拠点施設である、横浜女性フォーラムとフォーラムよこはまの情報ライブラリは、男女共同参画社会の実現や女性問題の解決に役立つ資料を収集し、広く市民に情報を提供することを使命とする、専門図書館です。問題解決のための情報活用という意味では、情報ライブラリの活動は情報リテラシーそのものと言えますが、これを実行していくためには、様々な工夫が必要です。いくつかの例をご紹介します。
 情報ライブラリの目的は、男女平等や性による差別等の問題への気づきを促すことにあります。そのためには、まず、こうした考え方に親しんでいただかねばなりません。神奈川新聞の書評欄に掲載中のコラム「女と男のBOOKナビ」では、資料の紹介を通して、男女の人権に関する身近な問題を、わかりやすい言葉で説明しています。
 情報ライブラリの資料は、男女共同参画の視点で収集され、独自の分類での整理を経て、提供されています。この中には、行政機関やグループ・団体の刊行物等、一般に馴染みの少ないものも含まれます。そこで、女性問題の解説と所蔵資料のPRを兼ねて、照会の多い「ドメスティック・バイオレンス」と「子育て」の2つのテーマで、資料案内の小冊子を作りました。他の部署とも協力し、講座等で配布したところ、なかなか好評です。
 さて、こうした活動の原動力となるのが、ライブラリのスタッフです。情報ライブラリでは、男女共同参画とその資料に関する知識を始め、利用者への情報提供能力等、スタッフ自身の情報リテラシーが要と心得て、日々研鑽に努めています。