アンケート結果の概要
2012年3月19日 09時19分 [管理者]アンケート結果の概要(広報委員会)
学校と公共図書館の連携について、県内の公共図書館にアンケートを実施しました。
連携の有無・内容・始めた経緯・課題や問題点について質問したところ、 78館から以下のような回答をいただきました。
Q1 公共図書館と学校の連携をしていますか?
Q2-1 どのような連携をしていますか?(74館中)
ア 団体貸出
イ 出張ブックトーク・おはなしボランティアの派遣
ウ 学校巡回文庫
エ ブックリストや図書館からのお知らせなどの配布による情報提供
オ 総合学習・調べ学習への協力
カ 学級招待・図書館見学の受付
キ 課題の本のとりおき
ク 学校教職員の体験学習の受入
ケ 一日図書館員などの課外授業(体験学習・職業体験)の受入
コ 学校図書館担当者との情報交換・学校図書館連絡会議を開催
サ 古い本の移管
シ その他
「シ その他」では、学校図書館ボランティアへの支援や、寄贈本の学校図書館への利用、新1年生への図書館バック(図書館案内付)の配布などの回答がありました。
Q2-2 ア~シの連携についてどこを対象にしていますか?
連携を始めた経緯
学校側からの個別の要望に対応して、図書館が協力する、という始まり方が多いようです。協力を進めるにつれ、学校側との連絡の必要性が高まり、会議等を持つようになる場合もあります。
反対に、図書館側からの働きかけから連携が始まる場合もあります。学校の集まる会議に出席するなどして、図書館が提供できるサービスをお知らせするのです。
また、自治体の施策として、子どもの読書・教育への図書館の協力が明文化されているところもあります。「子どもの読書活動の推進に関する法律」の施行もあり、今後このような自治体が増えるのではないでしょうか。
連携を始めるに当たっての課題と解決
最も大きな問題は、学校側との意思疎通の難しさです。図書館側の要望(来館前の連絡など)がなかなか学校側に伝わらない、という回答が多くありました。これを解決するため、会議における連絡や、利用案内・パンフレットの配布などを行っているところが多かったです。ただ、学校に配布したこのような案内が、個々の教職員には知られていない、という場合もあります。会議等で繰り返し要請したり、個々の教職員との連絡を密にしたりすることで、この点を解決しています。また、教員向けの図書館見学会や、出張ブックトークのデモンストレーションを実施し、図書館への理解を深めてもらっているところもありました。逆に、学校図書館の実態についてアンケート調査を実施した例もあります。
図書館側の受け入れ態勢の不足もあります。職員の不足や、小中学校の数の多さで、学校側の要望に応えきれないという声がありました。これについては、図書館側から提供できるサービスをメニュー化して整理しているところがありました。均質なサービスを提供するための、一つの工夫であるといえます。
また、資料の不足も問題です。同一の課題が一つの時期に集中したり、類書の少ない郷土資料の利用が重なったりして、十分な複本を用意できないことがあります。予算不足も一つの原因です。これを解決するため、年間スケジュールをあらかじめ提出してもらい、課題の重複を避けているところがありました。また、夏休みに利用の集中する課題図書については、夏期に閉室する学校図書室より借り受けて提供することによって、ほとんどの利用者に夏休み中に提供できた館がありました(『こあ 198号』参照)。
連携の発展
今回のアンケートで、「子どもへの直接サービスだけでなく、子どもを取り巻く大人への支援にも重点を置いている」という回答がありました。学校図書室職員への研修や、学校で読み聞かせ等にかかわるボランティアへの研修を行っているのです。このような研修を行うことで、学校図書室の充実をはかり、児童生徒により良い読書・学習環境を提供することになると言えます。今後は運営ノウハウなどの情報提供も必要である、との回答館もあり、学校(児童生徒)だけでなく、学校図書室へのサービスとしても連携を考えていくところが増えていきそうです。