川崎市の事例報告/学社連携レポート
2012年3月19日 09時23分 [管理者]川崎市の事例報告
学社連携レポート
川崎市立宮前図書館 館長 能川 保
■読書のまち・かわさき
川崎市では、川崎らしい読書活動を推進するために、平成12年の「子ども読書年」を契機に「読書のまち・かわさき」事業を開始し、平成14年度から3年計画で、小学校図書館整備等事業を実施した。さらに家庭、地域、学校、図書館などが一体となって、子どもの読書活動を推進していくことを目的に平成16年5月「子ども読書活動推進計画」を策定する。
毎年11月第1日曜日を「かわさき読書の日」とし、推進と検証体制として「子ども読書活動連絡協議会」を設置。また、市立図書館の役割および学校図書館との連携会議も明確に位置づけされた。
■学校図書館システム
平成15年1月、川崎市の書誌データは、市立図書館が構築する「川崎市書誌情報データベース」で統一することを目標に、学校図書館システムを含んだ市立図書館新システムが稼動した。また、今年度は、小学校図書館整備事業も終了年度であり、年度末には全校114校がオンラインで繋がり、同じシステムで運営が可能となる。
学校図書館システムを導入した経緯は、学校図書館と市立図書館との職員の研究会(平成10・11年度)及び平成7年度文部省(当時)の「学校図書館情報化・活性化推進モデル地域」事業の指定を受けた学校図書館の実践発表がきっかけとなり、市立図書館の機能と職員の専門性を生かし、実現可能な範囲での連携計画が提案された。
「コンピュータ導入+ネットワーク化=活性化された学校図書館」という式どおりにはいかないが、活性化の起爆剤になることは実例が示していた。
学校ごとに図書館システム導入を図り、個性ある学校図書館運営も魅力ある姿であるが、5年、10年先を考えた場合、バージョンアップなどに起きる諸問題や各学校図書館間や学校図書館と市立図書館との相互貸借などをスムーズに行うために、同じシステムで運営を開始することの必要性を力説した。
学校図書館から見て、(1)コンピュータシステムの管理運営の必要がない。(システム管理の統一化)(2)市立図書館が管理している全件の書誌情報を活用できる(書誌データの統一化)(3)市立図書館の資料があたかも自館の資料のごとく利用できる(コード体系の統一)(4)最新技術の進展に影響を受けない(5)各学校図書館の状況に合わせてネットワークに参入ができる(各自校判断)
基本的な整備がほぼ完成したが、更なる発展をさせるには、中学校・高等学校図書館もネットワークに参加してもらい、各学校、ボランティアおよび市立図書館との連携をなしていくことが重要である。
市立図書館としては、地域の特徴を踏まえながら、持っている資源(人・資料・情報など)をどのように提供・活用できるか考え、そして実践していく日々の繰り返しが必要であり、このことが市立図書館の今後の発展に繋がることと考えている。