協会報(~239号)

県立の図書館と県立高校の連携協力モデル事業

2012年3月19日 09時27分 [管理者]

県立の図書館と県立高校の連携協力モデル事業 

県立図書館 調査閲覧課 渋谷 綾子


 当事業は、県立高校の教育活動を支援するためのあり方を検討することを目的とし、平成15年度より始まりました。2年目を迎えた今年度は10校をモデル事業対象校とし、主に次の事業を行 なっています。
1.図書館利用案内資料の提供
 「入門グレートブックス」、「グレートワークスの世界」、「科学EYES」、「PaReT」などの目録類や事業概要などを提供しています。
2.図書資料等の予約・貸出
 「神奈川県図書館情報ネットワーク・システム」を利用して業務用ホームページより予約を受け付け、県立機関間の逓送便や連絡車、郵送などによる貸出を試行として行なっています。
3.レファレンスサービスの実施
 生徒や教員から受けた質問のうち学校図書館では解決しないものを電話、FAX、メールなどで受け付け回答しています。
4・研修の実施
 モデル校の学校司書や関係教職員を対象とした研修を実施しています。平成16年度は「人文系の基本レファレンスブックとインターネット」、「県立川崎図書館の概要―社史の活用ほか―」をテーマに2回実施しました。また全ての学校司書を対象とした研修会において、県立の図書館の概要と活用法の紹介を行いました。
 神奈川県学校図書館員研究会が会員を対象に実施したアンケートによると、研修の実施を7割以上の学校司書が希望しており、この事業の本格実施を望む声が多くあげられています。また、学校図書館と公共図書館の相互利用ネットワークや共有書庫構想などの意見も見られました。
 その一方、物流、学校図書館の電算化とインターネット環境整備、県立図書館と学校図書館相互の理解不足などが問題点として認識されています。
 近隣の公共図書館や学校との相互貸借をすでに行なっている学校図書館もありますが、学校司書個人の努力に依る部分が多いのが現状のようです。今は夢のような話ですが、すべての学校と県立図書館がデータと蔵書を共有することでもう一つの大きなネットワークが生まれる可能性も秘めています。期待が大きい分課題も多い事業ですが、館種をこえた相互理解を深めることがまずは大事であるように感じています。