協会報(~239号)

LibraryNAVIは、作ってみなくちゃ始まらない

2012年3月21日 09時31分 [管理者]

LibraryNAVIは、作ってみなくちゃ始まらない  

           

神奈川県立相原高校学校司書 松田ユリ子

 


LibraryNAVIは、神奈川県内の学校図書館職員で構成される学校図書館員研究会の県央地区会B班が5年越しで開発してきた、まったく新しい形の情報ツール・メディアである。まだまだ進化中ゆえに、今のところ定まった定義は無いが、今現在の一応の定義づけは、「図書館の利用者が求めている情報にナビゲートしてくれる、小さくても無限大な情報ツール」である。
 2005年に地区研究を発展的に解消し、現在オープな誰でも参加できるLibraryNAVI研究会を立ち上げ活動しているが、現在全国に広がりつつある会員が日々作って交換しているLibraryNAVIは、240種類を越えている。                                 

1.LibraryNAVI とは                                    ⅰ)かたち:form 
 A4の用紙を横長に、そして斜めに2分割し六つに蛇腹折が基本形である。好みや扱う内容によって、A4を縦長に2分割したり、B4を横長に斜めに2分割したりの変形も生まれている。ただし斜めに切ることがポイントで、切った紙を折ることによって、5つの見出し部分が自然に出来るため、ここに目次のように説明したいことのポイントを書き込むことが出来る。製作上のルールは2つのみ。1つは「LibraryNAVI」というロゴを表紙に入れること。もう1つは、表紙か裏側右下に自分のマーク入れること。自分のマークを入れるのは、製作者が簡単に特定出来れば、そのLibraryNAVI(以下LN)が欲しいときに本人から見本が貰い易いからだ。最初から共有することを前提に考えられているのだ。
 ちなみに、紙の色は自由。カラフルな色の組み合わせを楽しむのも、増刷を考えないのであれば黒い紙にミルキーペンで作るのも、白い紙にカラフルなマーカーで遊ぶのでも、どれもいい。A4横長2つ切りの基本形は丁度ケイタイサイズ。こどもたちには、潜在意識的にかなりアピールすると思われる大きさになる。

ⅱ)内容:contents
  コンテンツは、本当に、何でもいい。「インターネットどうやって調べるの?」LNや「本の探し方」LN、「図書館案内2007LNなどHOW toものLNが沢山ある。WHAT:~とは何か?というLNも沢山ある。「司書」LNや「ラベルの秘密」LNはガイダンスで使い勝手がよい。「縮刷版とは」LNや学校図書館そのものについての豆知識を学べる「学校図書館トリビア」LN、そして極め付きはLNとは何かについて知ることが出来る「What isLibraryNAVI??LNもある。最近では、従来の名刺はスペースが狭いと思う向きが「名刺」LNを作り始めた。これぞ究極の「自分とは何か?」ナビである。
 このように、学校図書館の資料にアクセスする方法だけではなく、資料、司書、図書館といったメディアそのものの説明も請け負う。そればかりか、必要ならどのようなものについてだって1つのLNを作ることが可能だ。製作者自身の興味あるテーマで作られた「自転車にのる」LN、多くの生徒に使われる便利なものを作ろうと考え出された「図書館ライフをサポートするバス・電車時刻表」LNや図書委員が使うための「データを入力しよう」LNなど、現場のニーズが反映されたユニークなものが沢山ある。

2.LibraryNAVI を使った教育実践                            
 もともとが、既成の「目次」から自分に必要な情報を探すガイドブックではなく、その時に自分に必要な情報を組み合わせて思考マップとしての目次を各自が創るガイドブックとして考案されているから、情報探索ガイドブックの項目になりそうなLNはすでに一通り揃っている。1つのLNでも使えるが、何種類か組み合わせることによってさらに個々のニーズに沿ったガイドブックとして使うことが出来る。
 図書館ガイダンスの資料として、授業とのコラボレーションの中でテキストとして、総合的な学習の時間でのパスファインダーとしてなど、LNを活用した教育実践は、神奈川県の学校図書館のみならず、他県の学校図書館や公共図書館にも広がりつつある。 現在、研究会として積極的に進めていきたいと考えているのが、こどもたち自身にLNを作ってもらう活動である。試行錯誤が学びを深めるし、出来上がったLNは図書館に実際に置かれるというモチベーションがある。それに何といっても、メディアを理解するには、そのメディアで表現してみることが一番だからなのである。
  

LibraryNAVIをブログでも紹介しています。是非ご覧下さい。「ライブラリーナビ・アーカイブ」http://librarynavi.seesaa.net/