協会報(~239号)

外国語利用案内について~日本語併記で使いやすさを向上

2012年3月21日 09時38分 [管理者]

外国語利用案内について~日本語併記で使いやすさを向上 

 

厚木市立中央図書館 林知希


図書館利用者の方々への情報発信については、各館におかれましても色々な工夫をされていると思いますが、当館でもさまざまな利用者の方々に向けた情報発信について取り組んでいます。  
 特に当館において、児童サービス、障害者サービスとともに力を入れている多文化サービス(外国語資料によるサービス)については、昭和63年の国際資料コーナー設置を契機に、より多くの外国人の方々に図書館を御利用いただくようになりましたが、職員と外国人利用者とのコミュニケーションがうまくとれないという問題が生じたことから、外国人利用者に向けた効率的な情報提供方法を検討し、外国語利用案内を作成することになりました。

1 外国語利用案内の作成
 当館では、市内外国人居住者の増加や、多くの図書館利用者からの国際資料へのリクエスト、社会的な国際化の流れなどを受けて、昭和63年8月に国際資料コーナーを開設しました。開設当時、外国語図書500冊、外国語新聞1紙、外国語雑誌2誌であった資料も平成18年度には、外国語図書14,482冊、外国語新聞26紙、外国語雑誌80誌となったことや、全蔵書に占める外国語図書数の割合を見ても、県内公共図書館全体では1%であるのに対して、当館では、2.1%(「神奈川の図書館2006」より)と高くなっていることからも、外国語資料による多文化サービスが当館の特色となっていることが伺えると思います。
 国際資料コーナー開設及び外国語資料の整備等により、職員が外国人利用者と接する機会が増加していきましたが、コミュニケーションをとることが難しい場面も多くなったことから、外国人利用者へ効率的に情報提供するために、外国語による利用案内を作成することになりました。
  外国語利用案内は、平成3年に英語版、平成4年に英語、中国語、ポルトガル語、朝鮮語・韓国語の4か国語表記版を作成しましたが、当初作成したものには、日本語が併記されていませんでした。その後、英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、朝鮮語・韓国語の各国語と日本語の併記による5種類の利用案内を作成しました。
  利用案内の形状は、B4版横長サイズの用紙を四つ折りにしたもので、表紙面を色分けして識別しやすくしています。内容は、開館時間や各フロア等の施設案内、貸出し、返却等の利用方法、各種サービス案内などで構成されています。
  なお、作成に当たっては、翻訳や校正について市の国際交流担当課を通じて、ボランティア団体等に協力を依頼しました。
  作成した利用案内は、中央図書館フロアのカウンター等に配置し、自由にお持ちいただくとともに、図書館利用者登録時に外国人の方にお渡しすることで、図書館利用上必要な情報の正確、かつ、効率的な提供に役立てています。

2 外国語利用案内の日本語併記について  
 前述にもあるように、当初作成した外国語利用案内は、外国語のみの表記であったため、実際に職員が見ても咄嗟に内容を理解できず、利用者に説明する際、使い勝手の良くないものでした。そこで外国語と日本語を併記する改訂を行いました。具体的に例示しますと、英語版利用案内の中に「Accumulated old papers, encyclopedias, and yearbooks are alsoavailable.」という表記がありましたが、この上部に『過去の新聞、百科事典や年鑑も閲覧できます。』という日本語を併記することにより、職員も内容を確認しながら利用者の方に御案内できるようになり、より利便性の高いものとなりました。

3 今後の取組について 
  「これからの図書館像」(これからの図書館の在り方検討協力者会議報告書、平成18年3月)でも提言されているように、広報活動をはじめとした図書館からの情報発信は、図書館経営にとって、今後より一層、必要、かつ、重要なものとなっていくと思われます。
  当館におきましても、さらなる利用者サービス向上のために、今後も引き続き、利用案内や館報などの紙媒体をはじめ、インターネットなどの電子媒体、マスメディア等各種媒体の特徴を踏まえ、最大限の効果を上げられるように組み合わせて駆使することで、より積極的な情報発信に取り組んでいきたいと思います。