協会報(~239号)

横須賀市立図書館のサービス拡大の現状と今後について

2012年3月19日 14時12分 [管理者]
★横須賀市立図書館のサービス拡大の現状と今後について
  ~「便利な図書館」、「身近な図書館」を目指して~       

はじめに
 本市図書館で近年開始した主な図書館サービスは、インターネット環境の普及といった生活環境の変化に合わせて、利用者が図書館に直接足を運ばずに検索・予約・貸出ができるなど、利便性の向上を目的としており、利用者から「便利な図書館」と感じていただけるサービスの拡大を進めています。

駅の本返却ポストの設置
 平成14年度に行った公民館図書室等のサテライト化やインターネット予約などにより、貸出冊数も大幅に増加しました。
 しかし、このことは返却冊数も増加する訳ですが、本の返却は本を借りる場合と異なり、図書館まで足を運ばずに返却できる場所を提供することによって、利用者の利便性が向上することとなります。
 そこで、横須賀市内の主要な鉄道駅に通勤・通学時に立ち寄れる「本返却ポスト」を設置するために鉄道事業者に協力を要請し、平成15年度に京浜急行の2駅、平成16年度にJRの1駅、さらに平成17年度には京浜急行の5駅に設置するとともに、京浜急行の7駅においては、改札窓口で駅員が返却本の受取りを行うサービスを始めました。
 その結果、駅返却ポスト利用数は飛躍的に増加し、平成17年度では貸出冊数の約11%が返却ポストを利用した返却となり、本の返却については利便性が大きく向上したものと考えております。

コンビニエンスストアでの本の取次ぎ
 本市は、地形的な条件や市街地形成の過程などから、東京湾岸部に多くの都市機能が集積しており、4つの図書館も同様に東京湾側に位置し、相模湾側地域への図書館サービスの充実が長年の課題となっていた中、サービスの充実に向け様々な検討をしてきました。
 その結果、インターネットの普及という生活環境を活用し、地域住民が図書館に足を運ばずに本の貸出・返却ができる拠点を造ることによって、図書館サービスを提供することが可能と判断し、地域のコンビニエンスストアとの協議により、平成16年6月から24時間・年中無休の本の受取・返却サービスを始めました。
 なお、平成17年度の実績として、本の取次ぎ冊数は約24冊/日で、サービス開始時期の約18冊と比べ増加傾向にあり、さらに平成18年3月から、コンビニエンスストアの協力によって、店内に図書館のホームページが閲覧できるパソコンを設置していただき、店内で図書の検索や予約が可能となりましたので、今後も利用者は増加していくものと思われます。

宅配便サービスによる本の貸出
 インターネットによる予約サービスなどを始めた結果、予約件数は実施前の6倍以上に達し、その約55%がインターネット予約となり、インターネットの普及に伴い、図書館の利用方法や本の選び方が変化してきたと考えられます。
 しかし、本を借りたくても図書館へ来館できない方などへの課題は依然として残っており、その解決策について、宅配業者からの提案を検討した結果、平成17年3月から宅配便サービスを始めました。
 この宅配便サービスは、神奈川県内全域を配達対象としたサービスで、多忙な方でも気軽にインターネットや電話等で本を予約し、直接自宅や職場で本を受取ることができ、返却時にも宅配業者に依頼し利用することができます。
 なお、宅配便サービスは有料(横須賀・三浦市内片道350円、その他県内片道500円)であるため、取扱件数(平成17年度は137件、588冊)は決して多くはありませんが、利用者にとって図書館サービスの選択肢が増えたという点では、今後も継続していく必要があると考えております。

「身近な図書館」に向けて
 これまでに紹介した「利便性の向上」を目的としたサービスは、図書館に足を運ばずに受けられるサービスですが、「身近な図書館」と感じてもらうための事業も必要であり、このことが利用者の増加にも結びついていくと思われます。
このため、視聴覚ホールにおける映画会や各種講演会の開催、インターネットコーナーの設置、リサイクル本の提供、ブックスタート事業で配布するグッズに印刷するキャラクター募集なども行っており、特に、キャラクター募集では、多くの子どもから応募がありましたので、子どもの頃から図書館を身近に感じ、足を運んでほしいと考えています。

おわりに
 本市では、利用者の利便性を向上させるために様々なサービスを行ってきましたが、近年の厳しい財政状況を考えた場合、さらなるサービスの拡大は運営経費の増大を招くために困難が予想されます。
 しかし、新たな土地開発により形成された住宅街など、本市には図書館サービスの「不便地域」は少なくなく、これらの地域住民に対しても図書館サービスを提供していかなければなりません。
 今後は、限られた経費の中で利用者ニーズに呼応したサービスの展開と、これまでに実施してきた民間企業との連携をさらに進め、利用者にとって「便利な図書館」、「身近な図書館」を目指していきたいと考えています。
(更新:2021年8月12日 16時42分)