協会報(~239号)

神図協小史点描(28)

2012年3月19日 14時56分 [管理者]
●神図協小史点描(28)
会友(元県立図書館) 池田政弘  


協会活動と財政のあり方

 昭和53(1978)年に、協会50周年を迎えたとき、協会や図書館に関するさまざまなあり方、見直しが提起され、協会内に「基本問題検討委員会」が組織された。2年余にわたり検討の結果、昭和56(1981)年に会則の改正が行われた。そして委員会は、常置委員会と特別委員会の二種類となり、特別委員会は時限的性格をもつものとして設置されることとなった。このことは、さきに述べたとおりである。(会報194号神図協小史点描18)
その後10数年を経た平成5、6(1993~94)年度の委員会活動のなか、それぞれの委員会が、何をするべきか、検討するなかで、特に書誌委員会はテーマの設定に関して問題点や課題がクローズアップされる事態となった。
 それは、近年における高度情報化のなか、とりわけ、情報メディアの多様化、さらにはコンピュータの発達によって、従来図書館として書誌データの編集作成(例:逐次刊行物目録、郷土資料目録、文学全集目録等)などレファレンスにとってはかかせない目録類の書誌的データ構築がコンピュータにかわっていったことに照応する。そのなかで、何をなすべきかが問われたのであった。(会報172号委員会活動より)
 その結果、当時の企画委員会では、各常置委員会、特別委員会の見直しについて検討されたと報告している(会報172号神図協の現況と課題)
 一方ではまた、神奈川県の財政悪化に伴って、協会活動に対する補助金の全額カットが平成7(1995)年から行われた。少ない金額とはいいながら、30万円の補助金カットは、協会歳入の1割強におよんでおり、協会活動にとって少なからぬ影響をおよぼす結果になるのではないかと懸念された。
 そこで、企画委員会の平成7(1995)年度にむけての対応として、次の二点が課題となった。
1.今後の県協会の財政のあり方について
2.委員会のあり方等時代のニーズに合わせ検討する必要
 企画委員会のなかで、委員会のあるごとにこの二点の課題について、検討がされたが、常に中途で議論が中断し、平成7年度には十分な検討が出来ないまま終わった。
  財政の見直しと分担金の改正問題
 県からの補助金がカットされた協会財政は、おのずと分担金の改正への取り組みがなされることとなった。
 企画委員会委員のなかから、分担金改正への中心メンバーを決定し、各協会加盟館の地域的なことも踏まえて、メンバーを各図書館から選び、検討することとなった。
 中心となるメンバーは、書誌委員長であった逗子市立図書館の吉田館長がなり、検討メンバーには選出館の規模と地域を組み合わせて選出し検討に入った。
 公共図書館、大学図書館、その他読書施設からなる分担金算出で、一番課題となるのは公共図書館の分担金であった。
 公共図書館は、市町村の規模人口による算出と職員割からなる算出により、決定されるようになっている。
 この算出のなかで、大きく二つの問題が当時出ていた。
 一つは、いくつかの自治体で、正職員を配置することなく図書館の分館を設置したこと、このことにより「神奈川の図書館」に分館であっても統計データを掲載してほしいとの要望があること。データとして掲載するための頁数の増加による印刷費用等がかかることになり、一つの分館が加盟したら一定の負担を負ってもらってはどうか。
 二つめは、各自治体が非常勤職員や臨時職員また派遣職員の増加とそれに伴う正職員の減少、このことによる協会への分担金の減少となっていることに対する解決というものであった。
 このことは、県からの補助金カットもあり、協会の財政基盤を脆弱にすることにもなるので、分担金算出には、現在よりも多少とも増加となる原案を作ることが、メンバーに課せられた。
 1年余にわたり、より良い分担金のあり方について、さまざまな角度から数回となく検討をかさね、一定の方向性を見出した。
 基本的な分担金の算出方法は変えることなく、自治体が設置する図書館数を加味する方法を取ることとし、各図書館の分担金額を表にして、企画委員会にはかった。企画委員会では、この報告を受け、検討をかさねたが、それぞれの自治体の財政悪化が進行するなかにおいて、負担金増加はいかがなものかとの意見が大勢を占め、その後の検討は中断された。