協会報(~239号)

本学図書館の雇用形態多様化の経緯と対応について

2012年3月22日 12時08分 [管理者]
特集:多様な図書館経営-いろいろな形態のマンパワーを活用して

本学図書館の雇用形態多様化の経緯と対応について  


相模女子大学附属図書館 小田切 良友

1.図書館スタッフの構成等

 私の勤務する相模女子大学附属図書館のスタッフ構成は、平成21年10月現在次のようになっている。マネージャー(事務長)1名、専任職員5名、業務委託職員(整理業務および受入業務)7名、派遣職員(閲覧業務)1名、パートタイマー(閲覧業務)日中2名、夜間1名(月水金と火木土に分けて2名で担当)、本学学生アルバイト(閲覧業務)夜間1名である。このうち司書有資格者はマネージャー、専任職員2名、業務委託職員7名、派遣職員、日中のパートタイマー2名である。
 図書館の概要を以下に示す。平成21年3月末現在蔵書数約37万冊(製本雑誌含む)。学生数同5月現在約3千名。年間受入点数8千から1万。建物は図書館として独立したもので、地上3階建て、延べ床面積約5千5百㎡、平成4年の竣工である。
 開館状況は以下のとおり。午前9時からの開館は1年をとおして変わらない。閉館時間は授業がある延長開館期間の平日が午後8時、土曜日が午後5時。授業がない通常開館期間は、平日が午後5時、土曜日が12時半となる。このほか学期末定期試験の2週間前から試験最終日までの期間の日曜・祝日を午後5時まで開館している。また、昨年度から一部の祝日に授業を行っており、平日と同様午後8時まで開館している。

2.雇用形態多様化の経緯について

 現在のスタッフ構成に至るまでには、いくつもの契機があったと思われるが、私自身も他部署への異動を経た後、現職に就いているので、比較的最近のものについて記してみる。

1)派遣職員の雇用期間の制限
 本学では昨年度、学内すべての派遣職員の雇用期間を一律2年9ヶ月までとする旨の指示があった。派遣職員の比率が高く、現状のままだと今後頻繁な人の入れ替わりが予想され、業務マニュアルの維持、目録データの質の維持が難しくなると判断し、今年度より整理・受入業務を委託契約に切り替えた。

2)開館時間の延長
 大学基準協会加盟を機に、同協会から授業終了後2時間の開館時間を確保すべきであるとの勧告助言を受け、平成17年度より授業がある期間の開館時間を午後8時までに延長した。その際、派遣職員およびパートタイマーの増員で対応した。


3)専任職員の異動・退職の充員
 ここ数年、専任職員の人事異動や定年退職があった際、その充員が主に派遣職員によってなされてきた。近年専任職員であっても、雇用期限を定めた有期専任職員という形態による雇用に変わり、現専任職員のうち1名が有期専任職員となっている。

3.多様な雇用形態の職員による図書館運営について

 コンプライアンス(法令遵守)の問題については、まず慎重に対処すべきである。管理職が関係法令に関する知識を持ち、アウトソーシングを管理するのはもちろんのこと、すべての職員に周知徹底させることが重要であると思う。労働者派遣と請負(業務委託)の区分、指揮命令権について、労働者派遣の受入期間の制限やいわゆる政令26業務・複合業務・自由化業務の区分等々についてはきっちりと整理しておきたい。
 図書館には係内だけでできる業務ばかりでなく、全職員で取り組むのが通例となっている業務(例えば、返却本の排架や書架移動)があるが、専任職員等と業務委託職員が混在してそれらの作業をすることのないよう時間・空間を分けるなどの事前の計画・調整が重要となる。本学では今年度末に蔵書点検を控えており、こちらも綿密な計画で臨む必要がある。
 このほか、業務委託導入前のことであるが、それまで専任職員数名で行っていた館内全体の会議に派遣職員も参加してもらうようにした。それは整理係が全員派遣職員となったことが直接の契機だったが、非正規職員にも図書館運営に携わってほしいとの考えからであった。業務委託を導入した現在も、委託先の了解を得て、会議への参加をお願いしている。

4.おわりに

 雇用形態の異なる職員のそれぞれの不安や悩みを理解しつつ、人間関係を良好に保ち、個々の知識や能力を最大限発揮させ、総体としての図書館がうまく機能するよう運営していくことが今後も求められていくように思われる。