協会報(~239号)

巻頭言 鎌倉市図書館100年に寄せて

2012年3月23日 11時58分 [管理者]
鎌倉市図書館100年に寄せて
~鎌倉市図書館と神図協~


神奈川県立図書館長
神奈川県立川崎図書館長
神奈川県図書館協会長
 林 秀明

 
 
 今から100年前、明治44年7月20日に鎌倉町立図書館が誕生しました。そして、今日まで県内図書館の連携・協力の先頭に立ってきたのは皆さん御存知のとおりです。
 神図協が設立されたのは昭和3年ですが、設立時の役員21人の中には鎌倉図書館の司書、山口萬さんがいます。当時の館長は町長ですから、司書の山口さんが事実上の館長として参画されていたのでした。
 神図協の会報「神奈川県図書館月報」にも度々鎌倉図書館が登場します。第35号(昭和12年1月1日号)の巻頭には「新装なれる鎌倉町立図書館」と紹介されています。
 その後戦時色が強まり、昭和17年4月に図書館月報は休刊、5月には神図協は県社会教育協会に併合されます。昭和19年には鎌倉図書館も閉館になりました。
 しかし、終戦の翌年昭和21年6月には鎌倉図書館は再開し、7月に、その鎌倉図書館において「神奈川県図書館振興協議懇談会」が開かれます。県内の11 館の図書館長が、戦後初めて一堂に会し、新しい時代の図書館の復興について語り合った記念すべき会議です。
 翌年3月、神図協が再建されます。再建草案を起草したのは鎌倉、横浜、金沢文庫の3館でした。このように鎌倉市図書館が、戦前そして戦後、大事な局面で常に図書館の連携・協力を引っ張ってこられたことに、この紙面を借りて敬意を表し、感謝申し上げます。
 県内最初の公共図書館である鎌倉図書館が百周年を迎えた今日、住民や企業の図書館へのニーズはますます多様化、高度化しています。県内の図書館が各々特色ある蔵書構築を進める中で、図書館同士連携して利用者の広範な課題に応えていかなければなりません。館種を超えた優れたネットワークを活かし、より一層連携・協力していきたいと思います。
 また、今年3月の東日本大震災後、県内の多くの図書館が節電や被災者支援サービスに取り組んでいます。防災減災対策や災害時に備えての資料保存計画も急務となっています。神図協の会合や研修の場を大いに活用して情報交換し、大切な資料と住民を守る図書館を目指しましょう。
(更新:2012年6月29日 13時19分)