協会報(~239号)

一時避難所に図書コーナーを設置~横浜市立図書館の避難者支援

2012年3月23日 14時02分 [管理者]
特集:東日本大震災と県内図書館 
一時避難所に図書コーナーを設置~横浜市立図書館の避難者支援 

 3月11 日に発生した東日本大震災に対応し、横浜市は「たきがしら会館」(磯子区)に、神奈川県は「県立武道館」(港北区)に一時避難所を設けました。
 横浜市立図書館では、市内の一時避難所に入居される方たちが少しでも安心して生活できる手助けになるようにと、3月下旬に、それぞれの一時避難所に図書コーナーを設置しました。図書コーナーには、団体貸出用の図書を活用し、一般書、児童書合わせて約200冊を提供しました。200冊程度としたのは、公用車1台で運搬できる量であり、書架のない避難所で会議用テーブル上下にオリコンを使って簡易に図書コーナーを設置できるためです。
 一時避難所の状況は日々変わり、乳幼児から高齢者まで様々な年代の方が避難されていました。そこで、どの年代の方でも図書コーナーを使えるように、乳幼児向けの絵本や紙芝居、高齢の方にも読みやすい大活字本なども準備しました。また、小説やエッセイだけではなく、外出するときに役立ちそうなガイドブックや横浜に関する本、運動不足を解消できるような運動方法の載っている本、子どもたちの遊びの手助けになるような工作やおりがみ、室内遊びの本なども準備しました。
 4月には横浜市野島青少年研修センター(金沢区
)にも一時避難所が設けられ、同様に図書コーナーを設置しました。また、長期間滞在される方も多くいる施設には、その後本の入れ替えも行いました。
 ある避難所では、本を持っていくと子どもが近寄ってきて、「どれでも読んでいいの?」と聞いてきました。どれでも好きなのを読んでねと声をかけると、次々に絵本を選んで保護者に本を読んでもらっていました。また、本の交換に行くと、図書コーナーの本が入り乱れていて、よく利用していただけていることが伝わってきました。子どもたちに、好きな本はそのまま置いておくことを伝えると、気に入った本を手にして、「これはまたよむの!」と笑顔でこたえてくれたことが忘れられません。
 7月末までに、すべての一時避難所が閉所し、図書コーナーの役目は終わりました。一時避難所で出会った方たちが、新たな生活の中で、図書館をまた利用してもらえればと思っています。

(横浜市中央図書館 菊池 真理)