協会報(~239号)

その時、施設は動いた~3.11の神奈川ライトセンター

2012年3月23日 13時52分 [管理者]
特集:東日本大震災と県内図書館 
その時、施設は動いた~3.11の神奈川ライトセンター 

 平穏な一日であるはずの3月11 日午後、突然の大きな揺れが発生した直後から、神奈川県ライトセンターにおける非常時への対応が始まった。
 所内放送からは、各自の身の安全確保の呼びかけと職員に対する来所者の安全確認の指示が、落ち着いた口調で流れた。その時3階の図書事務室にいた私は、直ちに録音室に向かい、録音ボランティアの安全確認に努めた。その頃、地下のプールでは大きな揺れで溢れ出た水が、廊下全体に広がっていた。
 3階の人的並びに施設的被害が無いことを確認した後、1階の事務室に行くと、そこにはすでにホワイトボードが持ち込まれ、視覚障害者・ボランティアなど来所者の状況、交通機関の状況等が克明に記されていた。中心的に取り仕切っていたのは、総務部門の若手職員(救護活動等経験者)であった。
 余震が続いたため、利用者には本館1階休憩ロビーに集まるよう指示をし、情報提供手段としてラジオを用意したほか、交通機関の運行状況等についても、所内放送でこまめに伝え、即応かつ正確な情報の提供に努めた。当センターは視覚障害者情報提供施設であり、情報提供に努めるのは当然のことではあるが、このことにより来所者の不安を取り除くことができた。
 さて、地震発生時に所内には100人を超える来所者がいたが、午後4時30分時点で72人が帰宅を見合わせていたため、夕食に向けて非常食の準備に取りかかり、午後6時に全員に支給することができた。(非常食は約500食を常備)
 なお、夜10時頃になって相鉄線運行再開の情報を得て、可能な人は帰宅したが、最終的に47人が庁舎にとどまった。いわゆる帰宅困難者には非常用毛布と朝食を用意し、各自安全に帰宅の途についた。後日、多くの方から職員の対応に対する感謝の言葉が寄せられたが、当センターの指定管理者である赤十字の強みを十分に発揮することができたと自負している。
 なお、大震災後早い時期から、赤十字の活動として、あるいは視覚障害者支援活動として複数の職員が被災地支援を行ったことを申し添えると共に、被災地に職員を派遣することによって本来業務が滞ることなきよう体制強化に努めた。

(神奈川県ライトセンター 姉崎 久志)