協会報(~239号)

震災による被害について

2012年3月23日 12時27分 [管理者]
特集:東日本大震災と県内図書館 アンケート「震災の影響について」
1震災による被害について 


 図書館施設への被害として、「【問1】震災により図書館施設への被害はありましたか。」の質問に73.5%の図書館が「はい」と答え、ほぼ全ての図書館が、【問2】の被害の内容についての質問で「蔵書の落下」を選択しました。
 その結果、1万冊以上落下したと報告があった図書館が、公共図書館で2館、大学図書館で5館ありました。
 ・ 横浜市中央図書館:約5万冊(4階・5階閲覧室の図書の多くお
     よび3階閲覧室の図書の一部が落下)
 ・ 相模原市立図書館:約17万冊(地下書庫の書架が倒壊)
 ・ 横浜国立大学附属図書館:約9万2千冊(損傷を受けた図書が多
     数あり)
 ・ 関東学院大学図書館:約1万冊(2階と3階の書架から落下)
 ・ 日本大学生物資源科学部図書館:約6万9千冊(全蔵書の約2
     割)
 ・ 文教大学湘南図書館:約1万冊
 ・ 明治大学生田図書館:約2万8千5百冊

 また、蔵書の落下以外の被害として、
 ・書架の転倒
 ・電動書架がずれたための動作不良
 ・停電によるシステムダウン等のシステム障害
 ・ 壁面のひび、外壁タイルの落下、ガラスの飛散、ドアのゆがみ
 ・漏水、漏水による資料の水濡れ
などの報告がありました。


震災直後の横浜市中央図書館5階書架


小田原市立かもめ図書館の視聴覚コーナーのCD落下


 開館状況やサービスにも大きな影響がありました。「【問3】震災後に図書館の開館時間やサービスへの影響はありましたか。」という設問では、回答のあった図書館の90%、105館が影響があったと回答しています。【問4】の閉館日数については、公共図書館の多くが1日、専門図書館の多くが1日あるいは2日なのに対し、大学図書館は7日以上という回答が最も多く、館種によって差がありました。大学図書館はもともと春休み期間で、大学そのものが閉鎖になったところもあり、比較的長期間の休館をしたようです。
 また、【問5】の震災直後のサービスの影響としては、ガソリン燃料の不足などの影響により、予約サービスの停止、移動図書館の運行停止をしなければならなくなったようです。【問6】の計画停電が実施された影響は大きく、回答館の34%の40館が終日臨時閉館を行っています。
 「【問7】震災発生以降、災害に対する対策を新たに採りましたらご記入ください」の質問に対しては、多くの図書館から様々なご意見がありました。その内容を大きく5項目に分けて紹介します。

【問1】震災により図書館施設への被害はありましたか。


【問2】【問1】で ①はい と答えた図書館にお聞きします。どのような被害がありましたか。※複数選択可


①を選択した場合の落下冊数


【問3】震災後に図書館の開館時間やサービスへの影響はありましたか。


【問4】【問3】で ①はい と答えた図書館にお聞きします。震災直後はどのような開館状況でしたか。※複数選択可


②を選択した場合の臨時閉館した日数


【問5】【問3】で ①はい と答えた図書館にお聞きします。震災直後に図書館サービスの制限を行いましたか。※複数選択可


【問6】3月から4月の計画停電の影響についてにお聞きします。
※複数選択可


【問7】震災発生以降、災害に対する対策を新たに採りましたらご記入ください。

○蔵書の落下・書架の転倒防止
 ・落下防止装置・落下防止シートを購入した
 ・書架に転倒防止工事を行った・行う予定
 ・免震書架の導入を検討した
 ・キャビネット棚に開閉防止の措置をした
 ・書架の最上段を空けた

○マニュアルの整備・確認・見直し

○避難誘導
 ・ 防災訓練を実施、避難場所、避難誘導方法を確認した
 ・ 余震発生時、災害時の館内アナウンス原稿を作成
 ・ 館内に利用者用の掲示をした(避難経路マップ、余震が発生した
     際の注意点)

○防災用品や備蓄の準備
 ・ 回答に挙がったもの一覧:ヘルメット、懐中電灯、ラジオ、
     手袋、乾電池、毛布、保温シート、ブルーシート、ランタン、
     緊急用電話、帰宅マップ、飲料水、食糧

○その他
 ・ 職員間での連絡体制の確認
 ・ 余震による火災発生時のために消火栓の位置と消火の手順を確認
 ・ 計画停電時の図書館システムへの対策
 ・( 大学図書館から)大学全体の災害時の対応について確認
 ・ 防犯カメラの設置
(更新:2012年3月23日 12時30分)