協会報(~239号)

今年度の新しい動き ビジネス支援

2012年3月15日 10時35分 [管理者]
今年度の新しい動き
●県立川崎図書館のビジネス支援


 
昨年の11月7日、NHKの『クローズアップ現代』で図書館がテーマに取り上げられて放映されたことは記憶にまだ新しいですが、その中で浦安市立図書館とともにビジネス支援図書館として紹介されたのが県立川崎図書館です。
 県立川崎図書館は昭和34年の開館以来、京浜工業地帯に立地する条件を考慮して、当初から科学技術・工学関係の資料収集に重点を置き、商工資料室には特許・規格、商工名鑑、カタログ、業界紙などを揃え、「工業図書館」を指向して来ました。以後、多少の紆余曲折はありますが、基本方針は変わっていません。
 さて現在の県立川崎図書館のビジネス支援サービスですが、平成10年4月に科学技術・工学に特化した専門図書館としてリニューアルした結果、工業系にシフトしたサービスになっています。

Ⅰ.ビジネス支援のための所蔵資料(平成13年度)
1.図書
 自然科学・工学系の専門図書206,840冊。
2.雑誌
 流通雑誌のほか学会協会論文誌、学会講演論文集、企業の技報を中心とした専門雑誌5,233タイトル。
3.規格
 JIS(日本工業規格)のほかISO(国際標準化機構規格)ハンドブックなど外国規格や団体規格。
4.会社史
 会社史・労働組合史・経済団体史11,772点。龍谷大学と並んで国内双璧のコレクション。
5.灰色文献
 非流通の資料。官公庁の委員会報告、審議会報告、文部科学省科学研究費補助金研究報告書、企業の環境報告書など。
6.外国化学文献
 日本化学会より洋書800冊、外国雑誌140タイトルの寄贈を受けて、現在も更新中。アジア諸国の化学雑誌など貴重なものもあり、複写依頼も多い。
7.CD-ROM
 科学技術文献速報(JST)、雑誌記事索引など21タイトル。
8.産業安全ビデオ・フィルム
 産業安全・労働衛生関係中心のビデオ・フィルム。

Ⅱ.ビジネス支援サービスの現状について
1.在宅利用文献複写サービス
 郵送等で文献のコピーを送るサービス。事前登録した継続利用者は迅速な対応が可能。
2.コンテンツシートサービス
 希望の雑誌の目次を複写して定期的に送るサービス。
3.知的所有権センター
 特許庁と専用回線で結ばれた「特許電子図書館」1台。民間データベース「JP-NET」2台設置。
4.特許検索アドバイザー・検索講習会
 特許検索アドバイザーにより週2回特許電子図書館の検索相談を実施、月2回講習会を実施。
5.発明相談
 発明協会神奈川支部から派遣される弁理士により月1回発明相談を実施。
6.商用データベース
 G-Search、JOISの2種類
7.ITコーナー
 インターネット用パソコン14台設置。ボランティアグループ「さくらネット」による検索指導、講習会を実施
8.主題別文献目録
 科学技術における最新の話題についてのテーマ別文献リストを作成
9.講座・講演会
 毎年「かながわオープンカレッジ」として科学技術・ビジネス関係の講座を開催。
10.神奈川県資料室研究会
 神奈川県内を中心とした企業の資料室や県研究機関資料室により構成され、月例会やレファレンス分科会などの研修、複写、資料の寄贈等相互に協力。
 
 以上のようなビジネスに対する高度なサービスを展開しています。
 今後の課題は、経営関係資料と起業家支援についてです。リニューアルにより科学技術に特化したため、経営関係やマーケット情報が欠落したことと、これまでサービス対象として企業や研究機関を中心としてきたためです。
 県立図書館と協力して、今後もサービス向上をめざし、とりくんでいきたいと考えています。

<神奈川県立川崎図書館 田村行輝>