協会報(~239号)

図書館界を巡る社会状況の急激な変化と厳しさ 

2012年3月19日 11時26分 [管理者]
図書館界を巡る社会状況の急激な変化と厳しさ
神奈川県立図書館長
神奈川県図書館協会長 
津田 信治
 
  今年4月から神奈川県図書館協会の会長を務めさせて頂いている神奈川県立図書館館長の津田です。図書館はもとより教育の分野での仕事は初めての事で途惑いもありましたが、なんとか職員に支えられ、この半年をやってまいりました。
 神奈川県立の2図書館は、今年度、皆様にご活用頂いているKL-NET(神奈川県図書館情報ネットワーク・システム)のシステム更新を行い、コンピュータ社会のニーズに的確に応えられるよう、利用者からのインターネット予約を開始するとともに、県内公共図書館を中心とした蔵書の横断検索機能の整備を行いました。
また、当館は、課題解決型のリサーチライブラリーとして運営しておりますが、利用者に必要な情報を提供するための「レファレンスサービス」は、図書館の重要な要素であると考えております。先般も、当館を含む数館について「ビジネス支援」に関するテレビ放映がありましたが、反響は大きいものでした。
 一方、社会状況の急激な変化と厳しさはその度
合いを増すばかりで、図書館界もその渦中にあります。取り分け委託、特に「指定管理者制度」については、既に、協会の研修等でも取り上げ、活発な議論も始まっております。先だっては日本図書館協会『図書館雑誌』に筑波大の薬袋教授の檄文が掲載されました。いかに立ち向かうのか、今こそ図書館側の姿勢が問われていると言えます。
 「指定管理者制度」の導入要件には「サービスの向上」と「経費削減」があります。それが民間資源との競争を問われる要因となっています。各図書館においては、長年地域のニーズにあったサービス展開を行い、さきほど当館の例で述べたような「情報提供」に努めておられることと思います。そこには、司書としての「専門性」に裏打ちされた職員の力があるはずです。
 当協会には、館種を超えた公共・大学・専門図書館の連携の実績があり、こうした問題についても相互に協力を行いながら、知恵を絞って解決して行けることと頼もしく思っております。引き続き、どうぞよろしくお願い申しあげます。