協会報(~239号)

ステップアップ研修(日本図書館協会)に参加して

2012年3月19日 11時33分 [管理者]
ステップアップ研修(日本図書館協会)に参加して


 「図書館雑誌」で中堅職員ステップアップ(1)の募集要項を目にしたのは、これまで図書館と関わりのなかった方に、司書の専門性や必要性を理解していただくにはどうしたらよいのか。そのような問いかけが私の中で大きな課題となっていた頃でした。というのも、横須賀では今、新中央図書館の建設が計画されるにともない、PFIや指定管理者等による運営方針が検討され、司書の専門性や必要性が頻繁に問われているからです。
 研修のカリキュラム、講師人の方々がとても魅力的に思えて是非受講したいと考えましたが、私がやりとげられるだろうか不安でもありました。しかし、受講資格の司書としての経験年数3年以上は十分満たしているし、日程は9月から3月まで平均月2回、月曜日の夜ということだったので、それならば職場には迷惑をかけないですむし、そうするとあと心配なのは<修了課題4000字のレポート>だけだと思い、プライベートで受講することにしました。その考えは甘かったと研修初日から思い知ることになりました。まず、受講生は司書としての経験年数10年未満の若い方ばかりかと思って出かけたのがそもそも勘違いでした。図書館協会の2階の研修会場に着いてみると、中には私くらいの年配の方も何人かいらしてほっとしたのもつかのま、名簿を見ると「図書館雑誌」等でお名前を拝見したことがある方がいらして驚かされました。また、受講生は一番遠い方は九州からと、日本全国から参加されていて、受講生の熱意にも圧倒されてしまいました。さらに、日曜出勤の次の月曜日の夜、片道2時間かけての受講は、思ったよりも体に負担がかかり、講義途中で集中力がなくなってしまい、聞き逃してしまうことも度々ありました。こんなに大変だとは思わなかったといいながらも、事務局で用意してくれた講義の録音テープを毎回お借りしながら、ようやく無事全講座終了し、<修了課題4000字のレポート>を送ったときには疲れがどっとでてしまったことを、今でもよく覚えています。苦労のかいあって、5月に図書館協会で修了書をいただいたときは感無量でした。また、講義内容は有意義で、『図書館経営論』『図書館運営の評価と指標』『レファレンス』等今でも時々ノートをみては業務に活用しています。
 そして昨年、中堅職員ステップアップ(2)が実施されることを知り、私費でも受講したいと考えていたところ、当館の庶務の担当者から、中堅職員ステップアップ(2)の該当者について確認がありました。私が該当していることを申し出ると、この講座は初回は準備の関係から2年間かかるのですが、館長、副館長のご理解と庶務の担当者の尽力で公費で受講できることになりました。ステップアップ(2)は、経験年数7年以上ということだったのですが前の経験から、「図書館雑誌」等でお名前を拝見している方のようなベテランの方々ばかりのはずだということは想像しておりましたが、受講者には私が受講した(2002年度)ステップアップ(1)の講師だった方がお二人もいらっしゃって、また驚かされました。このような方と机を並べることに気後れを感じ、迷惑をかけないようにしなければと、とても緊張しました。提出課題のほとんどは、私にとっては一筋縄ではいかないもので、夏季休暇は課題作成に費やされました。また、このステップアップ(2)の特徴は課題が多いことだけでなく、演習・グループディスカッション・プレゼンテーション等、講義に実践的な内容が盛り込まれていることでした。私は人前で何かを話すことは苦手なので、発表はとりわけ大変に感じられましたが、しかし、実践型の講義は、すぐに自館で活かせると思い、研修報告書(5冊のファイル)を作り自館で回覧しました。  
 また、昨年9月研修終了後すぐに、一番遠方(北海道)から参加の受講生のお世話でメーリングリストが立ち上げられたことは、私に宝物を与えてくれました。メンバーは、ステップアップ(2)受講者、ステップアップ(1)修了者、ステップアップ(1)(2)の講師、JLA研修事業委員会委員とJLA事務局職員です。私はほとんど発信せず、受信のみですが、毎日のように旬の情報を受けて、職場にも情報提供しています。今では毎日、帰宅してからパソコンを開くことが楽しみになりました。メールは、硬い内容だけでなく、思わず読みながら吹き出してしまうものもあります。2年間で12日間にわたる研修に公費で参加することができ、それを認めてくれた上司、そして支えてくれた同僚に、感謝の気持ちでいっぱいです。
 ステップアップ研修の受講の目的であった、<これまで図書館と関わりのなかった方に、司書の専門性や必要性を理解していただくこと>はまだ達成できませんが、ステップアップ(1)とステップアップ(2)を受講して、多くの情報や知識を得、また、司書としての技術が進歩したのではと自分自身は感じています。そして、一人ひとりが、専門職として実力をつけ、所属する組織の中だけでなく、全国区で通用する司書になることが必要との認識を新たにすることができました。職務に追
われる日々、個々に情報や知識を得、専門職として実力をつけることは容易でないかもしれません。3年にわたるステップアップ研修は有効なその手段のひとつを提供してくれたと思いました。
(更新:2012年3月19日 11時35分)