協会報(~239号)

県立の図書館の新システムについて

2012年3月19日 13時24分 [管理者]
県立図書館の新システムについて

県立図書館 山﨑 隆志

 神奈川県立図書館では平成17年4月に、神奈川県図書館情報ネットワーク・システム(KL-NET)の機器更新と機能追加を行い、まもなく稼動から1年が経過します。
 今回の機能追加では、一般利用者向けに、携帯電話を利用した所蔵資料検索、インターネットを利用した資料の予約・利用状況確認、貴重資料などをデジタルデータ(画像)として公開するデジタル・アーカイブの公開、県内公共図書館の資料を一括して検索できる横断検索等が可能になりました。また、県内にある大学図書館等を紹介するリンク集を作成し、OPACへのリンクのほか、その図書館の利用方法が確認できるようにしました。
 横断検索は、以前、神図協のホームページで提供していましたが、県立の図書館でのサービス開始に伴い終了しました。県立の図書館が提供する横断検索サービスでの検索可能館は、インターネット上にOPACを公開する27館(うち1館は横断検索準備中で、1館はOPAC公開準備中)と、県立図書館が用意する総合目録サーバを通してデータを提供する11館になります(うち1館は一般公開調整中)。これは県内にある38自治体がすべて参加するものになります。さらに、県機関の資料室が数施設参加を予定しており、一部はすでに横断検索の対象となっています。
 この横断検索を利用し、県内の公共図書館を主な対象として、他の図書館に資料貸借の依頼ができる仕組みとして、相互貸借管理システムを用意しました。
神奈川県内の公共図書館間の相互貸借は、今までWANTEDと呼ばれる掲示板を利用して行われていました。これは、資料を必要とする図書館が、必要とする資料を掲示板に書き込み、ほかの図書館が自館の蔵書を検索し、提供できる図書館が名乗り出るという仕組みでした。つまり提供する側が、検索の手間をかけ、判断する形でした。
今回作成した相互貸借管理システムは、依頼をする館が、横断検索機能を利用して検索を行い、提供してもらえそうな図書館を選択して依頼する形となりました。
12月末現在で、一日平均、4万5千件以上のアクセスがあり、このシステムを通して依頼が行われた件数も、ひと月あたり9千件近くに上っております。なお、WANTEDもこのシステムを補
完するものとして残しており、横断検索では見つからなかった資料が、月に200件程度登録されています。
相互貸借管理システムはIDとパスワードの認証が必要となっており、第三者が勝手に依頼できない形になっています。
 相互貸借の依頼を行うと相互貸借IDが自動的に付与され、以後、資料が貸出館に返却されるまでの間、そのIDをもとに各図書館は、自館が借りている資料や貸している資料の状況が相互貸借管理データベースにより、リアルタイムで確認できます。
このほか、図書館間での連絡事項の周知や情報交換のため、掲示板を用意しており、活発な書き込みがなされています。
従来の、提供館が自館の状況を鑑みて提供する形から、依頼館が提供館を指定する形となり、特定館に依頼が集中する危惧があったため、資料共有化の理念と相互扶助の精神に基づき、「神奈川県内公共図書館等の相互貸借ガイドライン」を制定し、これに基づいて相互貸借が運用されることとなっています。このガイドラインは一般の方にもご覧いただけるようこちらでもご覧いただけます(http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/guideline.html)。
今後は大学図書館や資料室図書館等、異館種との連携にも力を入れ、神奈川県域における、相互貸借の基盤となりうるシステムとなることを目指しています。
 平成17年の12月には相互貸借管理システムの参加館に対してアンケート調査を行い、146件にも及ぶご意見やご要望を頂きました。現在はメーカーに対してこれらのご意見・ご要望を提出し、4月頃に予定されているバージョンアップに反映させられるものを詰めているところです。
 各館のOPACを利用して検索する、横断検索方式を基本においているため、検索制度の改善など、なかなかご期待に添えないご要望もありますが、できる限りご意見やご要望を反映させ、これからも利用者の皆様に愛されるシステムにしていきたいと思っております。

(更新:2012年4月19日 16時39分)