協会報(~239号)

厚木市立中央図書館

2012年3月19日 14時35分 [管理者]
厚木市立中央図書館の郷土・行政資料コーナーとその資料活用について

  厚木市立中央図書館 宮原 淳子

 厚木市立中央図書館の郷土・行政資料コーナーは、図書館の地階フロアの一角にあり、厚木市・神奈川県を中心に県内各市町村発行の行政資料と同地域に関する郷土資料・同地域に縁のある著者の著作等を収集し、2005年9月末現在21,701冊の資料を所蔵しています。
1 行政資料の収集
 厚木市発行の行政資料の収集方法は主に次の2つの方法で収集しています。
(1)各課発行の資料を寄贈された際に受入れる。
(2)定期的な収集。これは、毎年11月に厚木市役所全庁と市内の小・中学校を対象に、市民に公開可能な資料の提供を文書で呼びかけ、市庁舎内に1週間だけ設置する収集箱に各課の提供資料を入れてもらうというもので、市内小・中学校からの提供資料は、各小・中学校と教育総務課間の逓送便によって届けられます。これらの提供資料を、図書館の郷土・行政資料担当が回収し受入れを行います。
この定期的な収集は、平成10年から毎年実施してきましたが、回を重ねるごとに市役所各課に「発行した資料を図書館に寄贈する」ということが定着してきているようで、この期間に限らず、行政資料の発行時にすぐに寄贈してくれる課が増えてきています。
その他県・各市町村の行政資料は、寄贈資料を受入れるほか新聞・広報誌等で情報を得次第に寄贈依頼する等積極的な収集を心がけています。
2 郷土資料の収集
郷土に関する資料は、市内・市外を問わず著者からの寄贈と新聞・広報紙等の情報を基にした寄贈依頼や購入によって収集しています。また、市内の書店の「郷土の本コーナー」も充実してきており、情報収集のために参考になっています。
最近では小・中学校の総合学習での利用が増えてきているので、収集の際には、図や写真の多いなるべくわかりやすい資料やチラシ・パンフレット類も可能な限り副数の収集を行っています。
3 資料の活用―レファレンスデータベースの作成・利用
 このように収集した資料の中から利用者のレファレンスに応じて資料を探し、提供した結果は、
ノートに質問内容と提供資料を記録・整理してい
ました。つまり、同じレファレンスを受けた場合
には誰もが同じように資料を提供することが可能であり、また、レファレンス内容と提供資料の分析をすることにより資料収集の参考資料としても活用してきました。そして平成12年度からはノートによる記録・整理からレファレンスデータベース化し更に活用しやすいものとなりました。
 このデータベースは、図書館職員がAccess97を基本に作成しました。入力内容は、ノートに記録してきた郷土・行政資料についての質問内容・提供資料・紹介機関等だけでなく、一般的なレファレンスについても入力し、厚木市立中央図書館の総合的なレファレンスデータベースとなっています。
作成にあたっては郷土資料レファレンスを対象に3種類の検索方法を取り入れてくれるよう依頼しました。(1)資料名(カナ)検索 回答に使用した資料名を検索するためのもので、郷土資料関係のどの資料にどういうものが入っているのかを知るため。(2)資料名(漢字)検索 資料名にヨミのわからない漢字があった場合に漢字での検索を可能にするため。(3)質問内容(漢字)検索 質問内容にヨミのわからない漢字が含まれていた場合の検索を可能にするため。
このようなレファレンス記録をデータベース化することにより、職員は誰でも、どこの業務端末機からも入力されている情報へのアクセスができるようになり、郷土資料に詳しい職員もそうでない職員もほぼ同じ程度の資料を利用者に提供することが可能になりました。
しかしながら、このデータベースは、完成されたものではありません。同じ内容のレファレンスであってもデータベースに入力された資料以外にも違った見方で資料を探すと新しい資料を発見することはよくあります。また、資料の探索経路も入力されたものより良い方法を見つけることもあります。データベースに頼り切ることなくレフレァレンスに応ずるたびに気持ちを新たに資料を探す努力を続けたいと思います。また、新しい資料を入手した場合には随時データの追加入力をし、さらに厚みのあるデータベースを日々構築していく必要があると考えています。