協会報(~239号)

二宮町図書館の地域資料への取り組み

2012年3月19日 14時39分 [管理者]
★二宮町図書館の地域資料への取り組み     
  
二宮町図書館 三浦 牧子


 1.地域資料コーナーリニューアル
 平成17年10月、地域資料コーナーに2つのコーナーを新設しました。それは「二宮町行政資料コーナー」と「二宮ゆかりのコーナー」です。コーナー前には展示ケースを設置し特別コレクションの展示も始めました。
2.これまでの取り組み
<二宮ゆかりの人物調査のきっかけ>
 上記2つのコーナーの設置については、平成15年度から3年計画でサービス計画重点目標として取り組み始めました。二宮ゆかりの人物(文学)を調査することになったきっかけは、町内の小学校教員が図書館に持ち込んだ1つのリストからでした。そのリストとは、「二宮が描写されている文学作品の一覧」で、二宮が出ている文学作品がこんなにあるのかとその時認識を新たにしたのが始まりです。それ以後、これらの文学作品を確認する作業が始まりました。
「二宮ゆかりの人物」とは、二宮を舞台または描写した文学作品を著した人物又は二宮に在住していた(している)著作のある人物のことです。そうしてまずとりかかったのは、二宮にゆかりの深い「山川方夫」からでした。
<図書館だより連載開始!>
二宮ゆかりの人物調査と同時期、リニューアルして隔月発行となった図書館だよりに、その調査結果として「山川方夫」を特集で掲載しました。  
その後「二宮ゆかりの人物コーナー」に、毎号1人ずつ掲載を開始したため、2ヶ月に1人のペースで調査を進めていくことになったのです!二宮ゆかりの人物の掲載は、以後現在までに14名になります。
<調査にはまる。>
この調査は、非常勤職員・臨時雇用員・職員の私を含めて6名の地域資料班メンバーで取り組んでいます。二宮ゆかりの人物コーナーの執筆は年度当初に、掲載人物と担当を決めます。掲載する号の発行日の2ヶ月前くらいから実質的な調査に入ります。その調査方法は-まずはその人物に関する著作を集め、担当者だけでなくなるべく皆で資料を読み、その人物像を明らかにしてゆかりの記事にまとめていきます。今までの調査では、著者の関係者などに連絡を取ったり、住んでいた場所を確認に行ったりして知りたい事柄を明確にしていきました。調査を進めるたびに、本等の資料で調べることの限界を感じているところです。また、1つの事実がわかると、次々調査したい事項が生まれ、まさにその人物にどんどんはまっていきます・・・このように調査は楽しく、また苦しいことを日々実感しています。
3.開館30周年記念行事として
 昨年2005年は、二宮町図書館が1975年に開館して30年目にあたり、その記念行事として地域資料展示と講演会を企画しました。
この企画は、二宮ゆかりの人物-二宮在住のSF作家、翻訳家、評論家の柴野拓美(小隅黎)氏から寄贈された約100冊の著書を図書館が特別コレクションとしたこと、また氏の業績と氏が二宮で発行しているSF同人誌「宇宙塵」の活動を紹介することを目的に開催しました。
展示は9月13日から19日の7日間で450名の来場者があり、SF研究家牧真司氏を迎えた講演会の当日は、展示会場も関係者でごった返しました。このような展示や調査では、県立図書館から資料を借用するなどご協力いただき進めています。
4.これからは・・・
 二宮町に二宮の資料を収集し保存する場所は図書館しかないということを念頭におき、書物に込められた二宮の歴史と文化を、次に二宮に住む人たちに残し伝えていくという大切な役割を図書館は担っていることを改めて認識し取り組みます。そして図書館を訪れた人たちに、興味を持ってもらうため、わかりやすく親しみやすいコーナーを作ることを目標にしていきます。そして、これからも地域資料を収集し、いろいろな方法で紹介していけたらと思います。地域資料の充実に向けて・・・まだまだこれから、です。