特徴のある加盟館 第19回 寒川総合図書館
2012年3月19日 15時38分 [管理者]寒川総合図書館
町民待望の図書館がオープン!
開館と同時に目を輝かせ本棚やインターネットコーナーに走り寄る子どもたち、絵本の前で笑顔で寄り添う親と子、自動貸出機の前でおそるおそる操作する若者、手慣れた様子でCD、DVDを見聞きする人たち・・・11月3日に、町民待望の本格的な図書館が誕生し、その日の館内の一コマでした。
一方、職員は、利用者が来てくれるか心配、貸出や登録の受付をシステムで動かせるか不安、カウンターに列ができると体は硬直し、休憩中も食事も喉を通らず、無我夢中で目の前の利用者を対応を繰り返す・・・。町にとっては、すべてが初めてのことで無理もない。慣れが何とかするというが、この日ばかりは緊張の連続でした。閉館後、初日入場者3,100人、貸出冊数4,000冊と報告すると、スタッフはホッとする雰囲気に包まれ、喜びはそのあとじわりと湧いてくるような状況でした。図書館って、こんなにも大変なのだと痛感させられた一日でした。
○総合図書館施設の概要
寒川町は公民館図書室4館で図書館活動を行ってきましたので、図書館建設はみんなが待ち望んだ施設です。生涯学習の拠点づくりをめざし、平成16年秋に着工し、平成18年6月完成、開館準備期間を経て11月にオープンしました。
建物の概要は、鉄筋コンクリート造地上4階地下1階建の建物で、延床面積は4,707.14㎡。1階から3階までが図書館、そして、4階に文書館を設置した複合施設です。施設全体としては、バリアフリーを徹底したフラットなオープンフロアを基調にし、利用しやすく、将来的な多様な変化に耐えうるものとして、ユニバーサルデザインの考え方を採用しています。また、1、2階共に窓際にテーブルを配置し、ゆっくりとすわって本が読めるように滞在型図書館をめざしました。
各フロアのコンセプトとして、1階は、図書館の重点目標に子どもの読書支援を掲げ、児童スペースを主体に確保しています。また、一般対象の新聞・雑誌のコーナーと軽読書的なスペースを確保し、本との出会いのフロアとしています。2階は、本のぬくもりを伝えるフロアとして考え、参考図書と視聴覚コーナー、インターネットコーナーなど配置し、活字とITによるハイブリッド図書館をめざしています。さらに、閉架書庫や対面朗読室、録音室の設置を利用者動線に配慮しながら設置しました。3階は、自己学習などに対応できる学習室を設置し、館内で唯一飲食ができる場所としてふれあいコーナーを設置し、町民ふれあいのフロアとしています。4階は、町史資料の保存活用を目的に文書館を複合し、寒川のことなら何でもわかる、寒川の歴史はここで見えるというような資料の活用を図っていくように、さむかわのフロアとしています。
○総合図書館のサービス
総合図書館の蔵書は、10万冊でスタートしました。すべて、新刊購入で揃えましたので、本当に活字のにおいのする本棚です。収容冊数は23万冊ですので、今後の継続的な図書購入が課題となるでしょう。視聴覚資料はCDとDVD合わせて約5,000本、他に、新聞20紙、雑誌200誌を確保し、町ではこれまでにない資料群でサービス体制を作りました。
図書館資料すべてにICタグを貼附したことで、資料の貸出返却手続は瞬時に行え、自動貸出機も使え、蔵書点検を含め、蔵書管理がスピーディになりました。また、図書館システム導入に合わせ、視聴覚、インターネット、映像配信の各システムを一体化し、合理的なブース管理を可能にしています。
○総合図書館の今後の課題
大きな図書館を造ったものの職員数では厳しいものがあり、町民のニーズに応えていく体制としては心細いものがあります。インターネットによる予約も近いうちに実施の予定ですが、これも体制的な不安を抱えた状況です。サービス面では経験不足ですので、県下の先進図書館にご指導をいただかねばならないと思ってます。よろしくお願い申し上げます。
(寒川総合図書館 田代雅弘)