協会報(~239号)

大学図書館委員会 年間活動報告

2012年3月19日 16時05分 [管理者]
大学図書館委員会 年間活動報告

 大学図書館委員会では、平成17年~18年度期の研究テーマを、「相互協力のあり方を探る」とし活動してまいりました。大学図書館における相互協力にかかわるものとしては、国内・海外図書館とのILL、地域開放、地域の公共図書館との協力関係、館種を超えた図書館ネットワーク構築などがあげられます。これらの目的とするところは、言うまでもなく利用者の期待に応えること。そのための、資料費の漸減或いは高騰といった問題への対策としての分担収集、リソース・シェアリングが今日最も大きな要素といえるでしょう。また、大学図書館の直接的な地域開放や公共図書館との協力協定、ネットワーク構築などは、その実行のための仕組みと位置付けることができます。
 ILLに関しては、Web OPAC化により、各館のシステムやその体制(個別協定の有無、NACSIS-ILL、同グローバルILLの参加如何等)による取り扱いの相違はあったとしても、図書館或いは図書館員の精神(「図書館員の倫理綱領第10」1980年日本図書館協会、等)に拠り、結果的に国内、海外、館種を超えた相互の協力がなされ、その範囲を拡大している実態が報告されてはいますが、予算措置を含めたシステム上の問題、グローバルなリソース・シェアリングの観点において特に大きいデータフォーマットや書誌ユーティリティーといった根本にかかわる問題の存在など目指す方向への道は未だ長いといえます。
 また、大学図書館における地域開放は、大学の外部評価の流れもあり、各大学において社会貢献の観点から積極的に検討され、推進され始めておりますが、一部地域で始まっているような分担収集への実質的繋がりは、本協会にあっては将来的な要素となっているのが大勢のようです。
 活動の後半は、協会80周年記念事業における本委員会担当にかかわる検討に多くの時間を割くこととなり、昨年度収集した資料の分析を深めることができなかったことが残念です。
 最後に、本協会のように、図書館をめぐる多くの問題に対し、館種を越えて検討し合い、相互に生かしていく、図書館間の協力体制こそ、最も重要かつ効果的に実行されている相互協力ではないかとの私見をいだきつつ、ともに活動頂いた委員の皆様、活動を支えていただいております事務局にこの場をお借りして感謝を申し上げ、ご報告とさせていただきます。

<委員長代理 神奈川大学図書館 堀江美由紀>