協会報(~239号)

Pick Up☆告知板 日々の心構えが危機管理

2012年6月10日 10時37分 [管理者]
Pick Up☆告知板

日々の心構えが危機管理
~座間市立図書館の「危機管理マニュアル」~
  

座間市立図書館 葉山 敦美

1.危機はいつもあった
  座間市立図書館は、比較的郊外のおっとりした立地環境ということもあり、盗難などのトラブルが少ない図書館です。それでも、利用者同士のけんかや痴漢騒ぎなどがたまにあります。例えば平成16年のある日、立腹した利用者が持っていたペットボトルをカウンターに叩きつけ、近くにいた高齢の利用者が驚いて転倒するという事件が発生しました。
  その時、『こんなときどうするの?~利用者と職員のための図書館の危機安全管理作成マニュアル~』(平成16年 日本図書館協会)という本が手元にあったのですが、個別の事例、図書館ごとに違う状況などがありそのまま使うということはできませんでした。もちろんこの本はずいぶん役に立つ本ですが、自館で作る必要がありました。それは、
  1)自館の状況を加味すること
  2)状況が変わったときすぐ差し替えられること
  3)事案が発生したときすぐ使えること
  4)新しい事例の追加が簡単であること
  5)対応が一目でわかること
  現場で即応できるマニュアルとして、このような要素を盛り込んだ当館なりのマニュアルが必要と感じた訳です。

2.「危機管理マニュアル」の完成
  このようなコンセプトのもと、平成16年11 月に第1版が完成しました。作るとき留意したのは、平成13年9月11 日にアメリカ合衆国で発生したアメリカ同時多発テロ事件です。座間市には米軍基地(キャンプ座間)があり、常にテロについては考慮しておく必要があります。実際、当館の裏にある県立公園内から手作りミサイルが発射されたこともありました。

3.「危機管理マニュアル」の構造
  以下の表は一例ですが、構造はほぼ共通しています。一部、内容によっては「予防措置」などの項目が入っている場合や、図や写真を添えてある場合もあります。最新版は60ページほどのボリュームとなっています。

危機管理マニュアルの例
危機管理マニュアルの例

4.そして東日本大震災「3.11」が起こった
  平成23年3月11 日、「3.11 」が起こったとき私は神奈川県図書館協会の研修委員として県立図書館内の会議室で研修を担当していました。
  地震は想定して項目にあったものの、停電や大量の本の落下などは項目になく、当館ではその場の判断で対応したようです。その後は皆さんもご存じのように「3.11 」以前と以後で危機管理に関する考え方が大きく変化しました。

5.より実用的なマニュアルに向けて
  「3.11 」以後は、日本は地震だけでなく噴火など何が起こってもおかしくないということを感じ、「危機管理マニュアル」の改訂に着手し地震の項目を強化するとともに、放射能や噴火に関する項目などを追加しました。
  ただ、一番重要なことは完璧なマニュアルを作ることではなく、個々の職員が「危機管理マニュアル」をベースに危機に対して予防できるものは予防し、緊急時には適切な対応ができるようになることです。そのためには常に全職員が危機に対する感覚を磨くことを進めていく、そのようなマネジメントを行うことにあると思います。

※当館の「危機管理マニュアル」をご覧になりたい方は、zamalib@library.zama.kanagawa.jp宛にご連絡ください。