協会報(~239号)

コンスペクタスって、なに?

2012年3月15日 14時50分 [管理者]
蔵書評価特別委員会
●コンスペクタスって、なに?

 当委員会は平成15年度から新たに設置された。海老名市立図書館長を委員長に、県立、横浜市中央、藤沢市総合市民、海老名市立の各館から1名ずつ委員が出ている。  
  蔵書評価というテーマは何となくわかるようで、いまひとつはっきりしない微妙なものである。委員会設立の趣旨を記した協会の文書によれば、蔵書評価とは、各館の蔵書構成について、「単純な量的な把握に限らず、蔵書を詳細に分析しその内容と質を把握する」ことであり、そのために蔵書を分類ごとに図書のレベル(例えば、入門書、一般書、専門書といった)で把握するコンスペクタス(conspectus)という方法があるとされている。委員会の使命は、このコンスペクタスによって、各委員が自館蔵書を分析し、公立図書館の蔵書評価モデルをまとめることだという。ちなみに神図協では平成14年7月に「資料収集と蔵書評価」という職員研修を実施し、コンスペクタスも紹介されたようだ。  
  さて、15年6月に委嘱状が交付された後、委員長を中心に電話で連絡を取り合ったところ、まず判明したのは委員の誰もがコンスペクタスについて知識を持っていないということだった。そこで上記の文書や研修資料でこの件について共通認識を得るとともに、各委員が関係文献に当たってコンスペクタスについて理解を深めることにした。
  情報を随時交換しながらの準備作業は半年に及び、年が明けた1月8日、海老名市立図書館において最初の会合が持たれた。満を持しての船出のつもりであった。しかし、ここで直面したのは、県立及び横浜市中央においては、使用しているMARCの制約により、個別図書のレベル値がデータ上にない、すなわちコンスペクタスの前提条件が満たされていないという現実だった。われわれの船は出港直後に暗礁に乗り上げてしまった。そこで、MARCに付されたレベルとは別の方法でコンスペクタス的な評価ができないものかと、現在、主題と出版社の関係に注目し、特定分類ごとに、各レベルに該当する代表的な出版社を選定し、そこの本が蔵書に占める比率を調べるという、実験的な取り組みを開始している。成否は予断を許さないが、当面は方法論的な模索を続けることになるであろう。
〈委員 県立図書館 関誠二〉