協会報(~239号)

特徴のある加盟館 第13回 -1

2012年3月15日 15時00分 [管理者]
●神奈川県立保健福祉大学附属図書館

   

 神奈川県立保健福祉大学は、県立初の4年制大学として、2003(平成15)年4月に横須賀市平成町に開学した。最寄駅は京浜急行線の「県立大学」駅(旧「京急安浦」駅)である。
  学部は保健福祉学部の一学部で、看護、栄養、社会福祉、リハビリテーションの4学科がある。
 現在は開学一年目のため学生数も227名と小規模だが、やる気に満ちあふれていて、図書館にも閉館時間の19時まで残って学習する姿が多数見受けられる。
  附属図書館は、正門の右手にある管理図書館棟 の3・4階部分で2,789平方メートルである。入口は4階となっており、入ってすぐのところにカウンターと、6台のパソコンからなるOPAC・外部データベース(DB)専用端末スペースがある。光庭(※彩光用の中庭)を囲む閲覧室には、参考図書、雑誌、および専門分野(看護・栄養・社会福祉・リハビリテーション等)の図書が並んでいる。3階には、やはり光庭を囲むような形で専門分野以外の一般図書の書架のほか、33台のパソコン端末が並ぶ情報自習室(学内者のみ利用可)、AVコーナー、グループ研究室(3室)、個人ブース(3室)及び集密書架などがある。閲覧席は、3・4階あわせて175席となっている。
  3階の開架書架の一角には、社会福祉、社会学、女性学に造詣の深かった嶋田夫妻の寄贈コレクションが整備される予定である。また、集密書架には、戦前の福祉関係の貴重書のコレクションである「神奈川県匡済会文庫」や、平成14年度末に閉所した神奈川県保健教育センター図書室から寄贈された雑誌類などがあり、現在は作業中のため閉架の状態だが、いずれは利用者が自由に手にとって見られる環境にする予定である。
  平成15年12月31日現在の蔵書数は、図書約 24,000冊(うち洋書4,400冊)、購読雑誌約400タイトル(うち洋雑誌105タイトル)、ビデオテープ等視聴覚資料303本となっているが、平成15年度末に閉学する県立衛生・栄養両短期大学からの蔵書を受け入れ、新しい資料を徐々に整備していくため、4学年すべてが揃う平成18年度には図書だけで約12万冊という所蔵規模になる予定である。ちなみに、収容可能冊数は15万6千冊となっており、開学当初から所蔵スペースの確保は重要な課題となっている。  
  また本大学は、「地域に開かれた」大学であるこ とを目指しているが、図書館も、当初より一般市民への開放を積極的に推進してきた。インターネット上でのOPACの公開はもちろんのこと、来館利用(18歳以上の県内在住、在勤、在学者)も受け入れ、希望者には図書の貸出も行っている。したがって、看護・福祉職に従事する人や他学校の学生だけでなく、幅広く一般市民の利用もみられる。ちなみに、4月以降、一般利用者の登録は約480名である。  
  外部DBとしては、日本国内の医療分野での基本的なDBである「医学中央雑誌web版」をはじめとして、9種類のDBを契約しており、カウンター前の端末からはもちろん、学生・教職員は情報自習室、AV対応閲覧席の情報コンセントや学内LANに接続している端末から利用できるようになっている。  
  現在の開館時間は、平日(月~金)の8時30分から19時まで(休業期間中は17時まで)となっている。祝・休日開館の要望もあり今後の課題となっている。  
  本図書館は、従来、神奈川県立図書館および県立川崎図書館ほか県立の図書関連施設では比重のかけられていなかった医療・福祉分野の資料を重点的に収集していくことを目指しており、県立図書館を補完する役割を担っていくことが期待されていると考えている。

<竹内 淳>