協会報(~239号)

特徴のある加盟館 第13回 -2

2012年3月15日 15時10分 [管理者]
●県立保健福祉大学実践教育センター図書室

   本センターは、平成15(2003)年4月1日に、神奈川県立保健福祉大学の附置機関として、横浜市根岸に開設されました。
  といっても、全く何もないところに新しくできたわけではなく、同年3月31日までは、"神奈川県立看護教育大学校"という名称の施設がありました。その看護教育大学校の「看護職の現任教育」という役割と、神奈川県保健教育センター(所在地:横浜市磯子区東町、同年3月31日閉所)の「保健衛生業務従事者に対する研修等の機能」を引き継ぎ、新しく「福祉職の現任教育」という役割を加えて、発足したのが当センターというわけです。
  図書室もそれに合わせて、従来所蔵していた看護関係を中心とする資料(図書約30,000冊、雑誌約200タイトル、ビデオテープ約400本)に加えて、保健教育センター図書室から移管された資料(図書約500冊、雑誌5タイトル、ビデオテープ約600本)と福祉分野の資料(図書約1,000冊、雑誌16タイトル)を用意して、新しくサービスを開始しました。
  現役で働いている方が学んでいるという当センターの性格から、平日の開室時間を20時までとし、土曜日も講義のある日は18時まで開室としました。職員体制は、非常勤も合わせて常時1名以上は対応できる司書がいるようにしています。
  また、保健医療福祉関係の専門資料を必要とする方にも利用していただけるようにしています(要予約)。いまはまだ、"看護教育大学校"時代のイメージがあるせいか、県内外の看護職の方や看護職を目指す学生の利用が大半ですが、保健教育センターが所蔵していたビデオテープにも固定客(?)があり、利用対象の拡がりを実感しています。
  図書室の資料の特色は、その学校の特徴をそのまま反映します。当図書室の場合も、母体が"看護教育大学校"であったことと、同じ施設内にある"神奈川県立よこはま看護専門学校(旧・看護教育大学校附属看護専門学校)"の図書室でもあることから、まず、看護関係の基礎分野の資料が充実していることがあげられます。文学では、小説よりノンフィクション(闘病記が主)が多いことが、「らしい」という気がします。その次には、看護と介護の教員養成コースがあることから、教育 関係の資料が多いことがほかの看護系の図書室にはない特色だと思います。昨年亡くなられた藤岡完治先生(京都大学教授)の蔵書の一部を寄贈していただいたことから、さらにこの分野が充実しました。また、国内ではまだ養成機関が少ない「がん性疼痛看護」と「重症集中ケア」の認定看護師養成コースを有しているため、その分野の資料が比較的多くなっています。さらに、保健医療福祉分野のリーダーを養成するコースもあるため、コーチングや経営関係の資料があることも、おもしろい特色ではないでしょうか。福祉分野の所蔵はまだ多くはないのですが、今後、高齢者や児童に対する虐待や、多職種の連携に関する資料を重点的に収集していくつもりです。
  ただ、予算と所蔵スペースが限られているため、専門外の分野の資料の充実は、難しい状況となっています。このため、所蔵している資料を最大限活用できるように案内し、どうしても足りない部分は他の図書館のお世話にならせていただく(文献複写や資料貸借など、いつもお世話になっております!)というのが司書の腕の見せどころと心得、当図書室を利用する方には満足して帰っていただきたい、と願って日々努めています。
  平成17年度の半ばには、平成15年度末に閉学する県立衛生短期大学の跡地に暫定的に移転する予定になっていますが、同時に、県立保健福祉大学附属図書館と一体化した図書館管理システムの導入についても、検討を行っているところです。
  来年度以降も、障害児者支援課程やトータルケアマネジメント課程などの新しい事業が始まる予定で、図書室も、それに合わせて利用者のニーズに添った資料を増やしていきたいと思っています。
<小野 桂>