協会報(~239号)

読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」

2012年3月23日 10時05分 [管理者]
特集:「国民読書年」から次の一歩へ

読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」  


(フェリス女学院大学附属図書館)

 本学の読書運動プロジェクトは、活字離れが進む若者に読書の楽しみを知ってもらおうと、2002年度に発足しました。「国民読書年」に当たる今年も学生有志のプロジェクトメンバーを中心に、どうしたら読書の輪をひろげられるか、ミーティングを行いながら学生の視点で企画を出し、読書推進に取り組んでいます。
 今年度は「環境」をテーマとしました。図書館入口正面には関連図書をまとめて展示し、館内各所に今年度のテーマポスター、読書運動企画のお知らせ、貸出ランキングなどを掲示しています。メンバーは読書会や上映会を開催し、企画の一つ一つを読書に結び付けていきました。
 また、大学祭にはテーマに関する講演会や、読書クイズ、製本講習などを行って、学外の方にも関心を高めてもらうよう働きかけました。
 このほか、朗読や創作・随想コンクールなど、読書に基づいて「表現」へ展開させる企画も継続しています。朗読は、11月の横浜市の読書フェスティバルに参加したほか、2月に神奈川近代文学館で発表会を行う予定です。創作コンクールは、毎年応募する学生も複数あり、書きたいという意欲を掬い上げる場として定着しています。
 読書運動の効果のひとつとして、2002年度に約6万2千冊だった貸出冊数が、2009年度では約7万1千冊に増加していることが挙げられます。『大学ランキング』(朝日新聞社刊)では、毎年Aランクを維持、楽しむ読書は定着した感があり、読書運動コーナーの文庫本は、常に貸出ランキングの上位を独占しています。また、企画で取り上げた本の貸出回数も多く、効果の表れといえるでしょう。それ以上に、読書運動で取り上げなければ手に取らなかったジャンルの本を読むようになったという声が聞かれたことは、この運動が学生の読書生活を豊かにしていることの表れではないかと思います。
 大学図書館として、普段の読書を楽しむきっかけづくりに取り組んできましたが、次の一歩は読書を踏まえた学習支援を考えています。読書が学力に結びつくような、学習サポートの展開を目指したいと思います。

(フェリス女学院大学附属図書館 加藤 庸子)